「自分が倒れたら、この人の介護は誰がするんだろう」——在宅で介護を続けていると、休みたくても休めない不安がつきまといます。そんなときに家族を支えてくれるのが、ショートステイです。少しだけ肩の荷を下ろす方法として、知っておいてください。

ショートステイは、要介護の方が短期間だけ施設に宿泊できる介護保険サービスです。家族の休息・旅行・冠婚葬祭・入院のときに使え、在宅介護を長く続けるための「家族を守るサービス」でもあります。

この記事では、ショートステイの2つの種類・要介護度別の料金の目安・連続利用のルール・予約が取りにくいときの対策・使い始め方を、家族目線でわかりやすく整理します。在宅介護で使えるサービス全体は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方をご覧ください。

※本記事は2026年8月時点の制度情報に基づく一般的な解説です。料金や空き状況は地域・施設によって異なります。実際の利用は担当ケアマネジャーにご確認ください。

ショートステイ(短期入所)とは

ショートステイは、特別養護老人ホームなどの施設に短期間(数日〜1週間程度)宿泊し、食事・入浴・排泄などの介護や機能訓練を受けるサービスです。日帰りのデイサービスと違い、「泊まり」があるのが最大の特徴です。

使われ方は主に次のような場面です。

  • 介護する家族の休息(レスパイト):介護疲れをためないための、意図的な休みの確保
  • 家族の用事:旅行、冠婚葬祭、出張、家族自身の入院や通院
  • 施設入所の”お試し”:将来的な施設入所を見据え、本人が施設での生活に慣れる練習として

「介護で自分の時間がまったく取れない」「たまには夜通し眠りたい」——そんな状況を防ぐために、あらかじめ定期的に組み込んでおくのも賢い使い方です。

ショートステイの2つの種類

ショートステイには、医療的なケアの有無で2つの種類があります。

短期入所生活介護 短期入所療養介護
主な施設 特別養護老人ホームなど 介護老人保健施設(老健)・医療機関
中心となるケア 食事・入浴などの生活介護 医療的な管理・看護・リハビリ
向いている人 日常の介護が中心の方 持病の管理やリハビリが必要な方

一般に「ショートステイ」というと短期入所生活介護を指すことが多いですが、たんの吸引や点滴などの医療的ケアが必要な場合は短期入所療養介護(医療型ショートステイ)が適しています。どちらを使うかは、本人の状態を踏まえてケアマネジャーが判断します。

ショートステイの料金の目安

料金はサービス費(介護保険の1〜3割負担)に加え、食費・滞在費(部屋代)・日常生活費が全額自己負担でかかります。デイサービスと違い「泊まる」ため、食費と部屋代の負担が大きい点に注意してください。

以下は、短期入所生活介護(従来型個室)を1日利用した場合のサービス費の自己負担(1割負担)の目安です。

要介護度 1日あたり(1割負担の目安)
要介護1 約650円
要介護2 約720円
要介護3 約790円
要介護4 約860円
要介護5 約930円

これに、食費(1日あたり3食で約1,500円)滞在費(部屋代。従来型個室で1日あたり約1,150円、ユニット型個室で約2,000円)が加わります。つまり1泊2日でも、サービス費のほかに数千円の実費がかかるイメージです。

ただし、住民税非課税世帯などの方は「負担限度額認定」を受けると、食費・滞在費が大きく軽減されます。該当しそうな場合は、市区町村の窓口かケアマネジャーに相談してください。要介護度ごとの支給限度額の考え方は要介護度とは?区分と使えるサービスの違いもご覧ください。

連続利用のルール(30日まで)

ショートステイには、利用日数の上限があります。

  • 連続して利用できるのは30日まで。31日目は介護保険が適用されず全額自己負担になるため、一度自宅に戻る(またはいったん退所する)必要があります
  • ショートステイの利用日数は、要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないのが目安とされています

「家族が長期入院するので1か月以上預けたい」といったケースでは、この上限がネックになります。長期の預け先が必要な場合は、施設への入所(ロングショートや施設入所)も含めてケアマネジャーに相談しましょう。

予約が取りにくいときの対策

ショートステイは人気が高く、特に週末・連休・お盆・年末年始は予約が埋まりやすいのが実情です。「使いたいときに空きがない」を防ぐために、次のような工夫が役立ちます。

  • 早めに予約する:利用したい日が決まっているなら、1〜2か月前から動く。特に連休や行事の予定は早めにケアマネジャーへ伝える
  • 複数の施設に登録しておく:1か所に絞らず、いくつかの施設を候補にしておくと空きを見つけやすい
  • 定期利用の枠を確保する:「毎月第2週に2泊」など、あらかじめ定期的な利用として組み込んでおくと枠を押さえやすい
  • キャンセル待ち・緊急枠を活用する:急な用事のときは、キャンセル待ちや緊急ショートの相談をしてみる

予約の調整はケアマネジャーが担ってくれます。「いつ、どんな目的で使いたいか」を早めに共有しておくのが、確実に使うための最大のコツです。

ショートステイを使い始めるには

  1. ケアマネジャーに相談:休息のため、家族の用事のためなど、目的と希望日を伝える(ケアマネジャーの探し方
  2. 施設の選定・見学:候補の施設を確認する。将来の入所も見据えるなら、その施設のショートを使ってみるのもよい
  3. ケアプランに位置づけ:利用日数をケアプランに組み込み、契約して利用開始。持ち物(着替え・薬・お薬手帳など)を準備する

当日に慌てないよう、持ち物は前もってそろえておくと安心です。数日分の着替え・下着、内服薬(日数分)とお薬手帳、健康保険証・介護保険証、洗面用具、普段使っている眼鏡や入れ歯、おむつ(必要な場合)などが基本です。認知症などで環境の変化に敏感な方は、使い慣れたタオルや写真など「いつものもの」を一つ持たせると落ち着きやすくなります。持ち物には施設の指示に従って名前を書いておくと紛失を防げます。初回は不安が大きいので、送り出すときに「すぐ迎えに来るからね」と声をかけてあげると、本人も安心して過ごせます。

よくある質問

Q. 本人が泊まりを嫌がります。どうすればいいですか?

A. 最初は不安を感じる方が多いものです。まずは1泊から試す、日中通い慣れたデイサービスと同じ系列の施設を選ぶ、といった工夫で慣れていくことがあります。無理強いはせず、少しずつ試してみましょう。

Q. 急に必要になったとき、すぐ使えますか?

A. 空きがあれば緊急的に利用できる場合もありますが、確実ではありません。家族の入院など「もしも」に備え、あらかじめ緊急時の預け先をケアマネジャーと相談しておくと安心です。

Q. 薬や医療的なケアが必要でも使えますか?

A. 使えます。日常的な服薬程度なら短期入所生活介護で対応できますが、たんの吸引や点滴などの医療的ケアが必要な場合は、老健や医療機関で行う短期入所療養介護(医療型)を選びます。

まとめ:休むために、あらかじめ組み込んでおく

ショートステイ(短期入所)は、短期間施設に宿泊して介護を受けられるサービスです。生活介護中心の「短期入所生活介護」と、医療ケア中心の「短期入所療養介護」の2種類があり、家族の休息・用事・施設のお試しに活用できます。料金はサービス費に加え食費・滞在費がかかり、連続利用は30日までが上限。人気が高いので、早めの予約が肝心です。

介護する人が心と体を休めることは、本人のためでもあります。倒れてからでは遅いのです。「困ったときだけ」ではなく、あらかじめ休みを予定に組み込む——それが在宅介護を無理なく続けるコツです。頼ることに、どうか罪悪感を持たないでください。

介護疲れをためない工夫は介護疲れ・介護うつを防ぐ|相談先とレスパイトもあわせてご覧ください。在宅介護の全体像は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方から確認できます。

参考にした主な資料