要介護認定の結果通知書に書かれた「要介護2」の文字。「そもそも要介護2ってどんな状態?」「要支援と要介護は何が違う?」「この区分で何がどこまでできる?」――初めて見る人には、さっぱり分からないのが普通です。

この記事では、要支援1から要介護5までの8つの区分について、状態の目安・使えるサービス・月々の利用限度額を早わかり表で整理します。認定の申請手続きそのものは要介護認定とは?申請から認定までの流れと、調査で損をしないコツで解説しているので、これから申請する方はそちらからどうぞ。

※本記事は2026年7月20日時点の制度情報をもとにした一般的な解説です。状態像はあくまで目安であり、実際の区分は認定調査に基づいて個別に判定されます。

8つの区分は「介護の手間」で決まる

要介護認定の区分は、病気の重さではなく「介護にどれだけの手間(時間)がかかるか」で決まります。認定調査と主治医意見書のデータから、介護に必要な時間(要介護認定等基準時間)を推計し、次の8段階に振り分けられます。

区分 状態の目安
非該当(自立) 日常生活は自分ででき、介護保険のサービスは必要ない状態
要支援1 日常生活はほぼ自立しているが、掃除など一部に見守りや手助けが必要
要支援2 要支援1より支援が必要な場面が増えているが、状態の維持・改善が見込める
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定。排泄や入浴に部分的な介助が必要
要介護2 要介護1より介助の場面が増え、食事や着替えにも見守り・手助けが必要なことがある
要介護3 ほぼ全面的な介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が難しい
要介護4 介助なしでは日常生活が困難。思考力・理解力の低下がみられることも多い
要介護5 寝たきりに近く、意思の伝達も難しい。生活全般に全面的な介助が必要

同じ病名でも、生活にどれだけ支障が出ているかで区分は変わります。「脳梗塞だから要介護3」といった対応関係はない、と押さえておきましょう。

「要支援」と「要介護」の違い

8区分は大きく「要支援」と「要介護」の2グループに分かれ、使うサービスの体系も相談先も変わります

要支援1・2 要介護1〜5
目的 介護が必要になるのを防ぐ(介護予防) 生活を支える介護
使うサービス 介護予防サービス・総合事業 介護サービス(在宅・施設)
ケアプラン担当 地域包括支援センター 居宅介護支援事業所のケアマネジャー
施設入所 原則対象外 種類に応じて可(特別養護老人ホームは原則要介護3以上)

境目としてよく話題になるのが「要支援2」と「要介護1」の分かれ目です。介護の手間の推計時間はどちらも同じ帯なのですが、①状態が短期間で悪化する見込みがあるか、②認知機能の低下があるか――といった観点で、要介護1に振り分けられることがあります。「同じような状態なのに隣の区分になった」と感じる背景には、こうした判定の仕組みがあります。

区分ごとの利用限度額(早わかり表)

在宅でサービスを使う場合、介護保険が適用される月々の上限(区分支給限度基準額)が区分ごとに決まっています。

表を見る前に「単位」について一言。介護保険のサービス料金は円ではなく「単位」で決められています。1単位=約10円ですが、人件費の地域差を反映して、都市部ではやや高く設定されています(最大で1単位11.40円)。「単位×地域ごとの単価」が実際の金額になる、と理解しておけば十分です。

区分 限度額(単位/月) 金額の目安 自己負担1割の場合
要支援1 5,032 約5万円 約5,000円
要支援2 10,531 約10.5万円 約1万円
要介護1 16,765 約16.8万円 約1.7万円
要介護2 19,705 約19.7万円 約2万円
要介護3 27,048 約27万円 約2.7万円
要介護4 30,938 約30.9万円 約3.1万円
要介護5 36,217 約36.2万円 約3.6万円

読み方のポイントは次のとおりです。

  • 限度額いっぱいまで使う義務はありません。必要な分だけ使い、使った分の1〜3割を自己負担します
  • 限度額を超えた分は全額(10割)自己負担になります。ケアマネジャーは限度内に収まるようプランを組むのが通常です
  • この限度額は訪問介護やデイサービスなど在宅系サービスの枠です。施設入所の費用や、住宅改修・福祉用具購入の補助は別枠で扱われます
  • 所得によって自己負担割合は1割・2割・3割に分かれます。詳しくは「介護保険・お金」カテゴリーで解説していきます

区分で変わる「使えるもの」の代表例

限度額のほかにも、区分によってサービスの選択肢が変わります。代表的なところを押さえておきましょう。

  • 特別養護老人ホーム(特養)は原則要介護3以上:いわゆる「要介護3の壁」です。費用の安い公的施設である特養への入所申込みは、原則として要介護3以上が条件になります(要介護1・2でも特例入所が認められる場合があります)
  • 介護ベッド・車いすのレンタルは原則要介護2以上:要支援1・2と要介護1の方は、介護ベッドや車いすなどのレンタルが原則対象外です(状態によっては例外的に認められる場合があります。手すりや歩行器は要支援でも借りられます)
  • 要支援の方はデイサービスやヘルパーの回数に事実上の目安がある:介護予防が目的のため、週1〜2回程度の利用が一般的です

区分別・サービスの組み合わせイメージ

数字だけではピンとこないと思うので、区分ごとのよくある使い方を3つ紹介します。あくまで一例で、実際のプランは本人の状態と希望に合わせてケアマネジャーと組み立てます。

  • 要支援2のAさん(一人暮らし):介護予防のデイサービスに週1回通って運動と入浴。ヘルパーに週1回、掃除など家事の支援に来てもらう。ケアプランは地域包括支援センターが担当し、自己負担は月数千円程度に収まるケースが多い
  • 要介護2のBさん(夫婦二人暮らし):デイサービス週3回で日中の活動と入浴を確保し、ヘルパー週2回で家事支援。手すりのレンタルと介護ベッドを組み合わせ、配偶者の負担を軽減。1割負担なら月1.5万〜2万円前後になることが多い
  • 要介護4のCさん(子と同居):デイサービスと訪問看護を組み合わせ、家族の休息(レスパイト)のためにショートステイを月数日利用。介護ベッド・車いすをレンタルし、限度額に近い水準まで使うプランになりやすい

ポイントは、区分が上がるほど「家族の休息」を組み込む余地が広がることです。限度額は本人のためだけでなく、介護する家族が倒れないために使う枠でもあります。

「うちの親はどの区分?」と気になったら

「要介護認定シミュレーション」といった簡易チェックを探したくなるところですが、正式な区分は認定調査を受けなければ決まりません。ネット上の簡易判定はあくまで参考程度に。むしろ大切なのは、認定調査で普段の様子を正確に伝えることです。親世代は調査員の前で張り切ってしまい、実態より軽く判定されがちです。調査で損をしないコツを事前に読んで、困りごとメモを用意して臨んでください。

また、認定後に「区分が実態と合っていない」と感じたときは、区分変更申請という手段があります。転倒や病気の進行で状態が変わったときも、更新を待たずにいつでも申請できます。

よくある質問

Q. 非該当(自立)でした。何も使えないのでしょうか?

A. 介護保険のサービスは使えませんが、市区町村の総合事業(運動教室や生活支援など)を利用できる場合があります。また、状態が変われば再申請はいつでも可能です。まずは地域包括支援センターに「非該当だったが今後が不安」と相談しておくと、見守りの目がつきます。

Q. 区分が上がると、自己負担も増えますか?

A. 使えるサービスの上限が増えるだけで、負担割合(1〜3割)は変わりません。使った分に応じて自己負担額が決まるので、区分が上がったからといって自動的に支払いが増えるわけではありません。一方、区分が上がるとデイサービスなど一部サービスの1回あたり単価が上がるものもあります。

Q. 自己負担の1割・2割・3割は、どう決まるのですか?

A. 本人(65歳以上)の所得に応じて決まります。一定以上の所得がある方は2割、現役並みの所得がある方は3割です。認定を受けると市区町村から「介護保険負担割合証」が届き、そこに割合が明記されているので、まずはそれを確認してください。割合の判定基準や負担が高額になったときの軽減制度(高額介護サービス費)は、「介護保険・お金」カテゴリーで詳しく解説予定です。

Q. 要介護3の親を要介護2に「下げてほしい」ことはできますか?

A. 区分変更申請は状態の変化を理由に行うもので、希望する区分を選べる制度ではありません。区分が実態より重い・軽いと感じる場合は、まずケアマネジャーに相談し、次の認定調査で普段の様子を正確に伝えることが基本です。

まとめ:区分は「使える支援の枠」を決めるものさし

要介護度の区分は、親の状態にラベルを貼るためのものではなく、介護保険で使える支援の枠を決めるものさしです。区分ごとの限度額とサービスの違いをざっくり頭に入れておけば、ケアマネジャーとの相談も、今後の見通しを立てるのもぐっと楽になります。

これから申請する方は申請の流れと調査のコツを、介護全体の進め方は最初にやること5ステップ【全体ガイド】をご覧ください。

参考にした主な資料