訪問看護とは?費用・医療保険と介護保険の使い分けをわかりやすく解説
在宅で介護をしていると、「持病の管理が心配」「退院はしたけれど医療的なケアが必要」「もしものときに専門家に相談できる人がいてほしい」——そんな不安が出てきます。その医療面を自宅で支えてくれるのが訪問看護です。
ただ、訪問看護は「訪問介護(ヘルパー)と何が違うの?」「医療保険と介護保険、どっちを使うの?」「費用はいくら?」と、仕組みが分かりにくいサービスでもあります。この記事では、訪問看護でできること・訪問介護との違い・どちらの保険が使われるか・費用の目安・24時間対応を、家族目線でわかりやすく整理します。在宅介護で使えるサービス全体は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方をご覧ください。
※本記事は2026年8月時点の制度情報に基づく一般的な解説です。適用される保険や費用は本人の状態・年齢・所得によって異なります。実際の利用は主治医・担当ケアマネジャー・訪問看護ステーションにご確認ください。
訪問看護とは
訪問看護は、看護師などが自宅を訪問し、主治医の指示のもとで医療的なケアを行うサービスです。病気や障害があっても住み慣れた自宅で暮らし続けられるよう、健康状態の管理から医療処置、療養の相談までを担います。
訪問するのは主に看護師ですが、保健師・准看護師のほか、リハビリを行う理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問する場合もあります。利用するには主治医が交付する「訪問看護指示書」が必要です。
訪問看護でできること
- 健康状態の観察・管理:血圧・体温・脈拍のチェック、病状や生活の変化の確認
- 医療処置:点滴、注射、床ずれ(褥瘡)の処置、カテーテルや在宅酸素の管理、たんの吸引など
- 服薬の管理:薬の飲み合わせや飲み忘れの確認、管理の助言
- 療養上のケア:入浴・清拭・排泄の援助、栄養や食事の相談
- リハビリテーション:自宅でできる機能訓練や生活動作の練習
- 看取り(ターミナルケア):自宅で最期を迎えたい場合の医療的な支援
- 家族への助言・相談:介護の仕方や不安についての相談対応
訪問看護と訪問介護の違い
名前が似ていて混同されやすいのが、訪問看護と訪問介護(ホームヘルプ)です。いちばんの違いは「医療かどうか」です。
| 訪問看護 | 訪問介護 | |
|---|---|---|
| 担当する人 | 看護師など(医療職) | 訪問介護員(ホームヘルパー) |
| 中心となる内容 | 医療的なケア・健康管理 | 身体介護・生活援助(家事) |
| できること | 点滴・注射・床ずれの処置など | 入浴・排泄の介助、掃除・調理など |
| 必要なもの | 主治医の訪問看護指示書 | ケアプラン |
点滴や床ずれの処置などの医療行為は訪問介護(ヘルパー)ではできず、訪問看護の領域です。両者は役割が違うため、併用するのが一般的。看護師が医療を、ヘルパーが生活と体の介助を担当し、組み合わせて在宅療養を支えます。訪問介護で頼めること・頼めないことは訪問介護でできること・できないこと一覧で詳しく解説しています。
医療保険と介護保険、どちらが使われる?
訪問看護でいちばん分かりにくいのが、「介護保険」と「医療保険」のどちらが適用されるかです。基本ルールはこうです。
要介護・要支援の認定を受けている方は、原則として介護保険が優先されます。ただし、次のような場合は例外的に医療保険が使われます。
- 末期のがん(末期の悪性腫瘍)の方
- 厚生労働大臣が定める難病等(多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉、重度のパーキンソン病関連疾患など)に該当する方
- 急性増悪などで、主治医が「特別訪問看護指示書」を交付した期間(原則14日間)
- 要介護・要支援の認定を受けていない方(40歳未満の方や、認定のない方など)
つまり、重い病気や医療の必要度が高い状態では医療保険、日常的な療養管理が中心なら介護保険、というのが大まかな整理です。どちらが適用されるかは主治医や訪問看護ステーションが判断するため、自分で悩む必要はありません。迷ったら遠慮なく確認しましょう。
訪問看護の費用の目安
費用は、適用される保険によって変わります。
介護保険の場合
要介護度ごとの区分支給限度額の範囲内で、原則1〜3割の自己負担です。訪問看護ステーションを利用した場合の1回あたりの自己負担(1割)の目安は、次のとおりです。
| 利用時間 | 1回あたり(1割負担の目安) |
|---|---|
| 20分未満 | 約310円 |
| 30分未満 | 約470円 |
| 30分〜1時間未満 | 約820円 |
| 1時間〜1時間30分未満 | 約1,130円 |
※これに、24時間対応体制や緊急時訪問などの加算が加わることがあります。
訪問の頻度は、本人の状態に応じて週1回から数回が一般的で、病状が重い方や看取りの時期には毎日訪問することもあります。介護保険で利用する場合は、他のサービスと合わせて区分支給限度額の範囲に収まるよう、ケアマネジャーが調整します。「どのくらいの頻度が適切か」は主治医や訪問看護師と相談しながら決めていきましょう。
医療保険の場合
年齢や所得に応じて1〜3割の自己負担になります。高齢者の多くは1割または2割負担です。医療費が高額になったときは高額療養費制度で自己負担に上限が設けられるため、負担が一定額を超えた分は払い戻されます。
24時間対応と緊急時の安心
訪問看護の心強い点は、24時間の対応体制をとっている事業所が多いことです。24時間対応体制加算を届け出ている訪問看護ステーションでは、夜間や休日でも電話相談ができ、必要に応じて緊急訪問してもらえます。
「夜中に急に容態が変わったらどうしよう」という在宅療養の最大の不安に、専門職がいつでも応じてくれる——これは、医療的なケアが必要な方を自宅で支えるうえで大きな安心材料になります。退院して在宅療養に切り替えるときは、退院後の生活の準備とあわせて、訪問看護の体制を整えておくとよいでしょう。
訪問看護を使い始めるには
- 主治医に相談:訪問看護が必要か医師に相談し、訪問看護指示書を出してもらう
- ケアマネジャー・訪問看護ステーションに相談:介護保険を使う場合はケアプランに位置づける(ケアマネジャーの探し方)。医療保険の場合は主治医・ステーションが手続きを案内
- 契約・利用開始:訪問の曜日・時間・内容を決めて利用を始める
よくある質問
Q. 訪問介護と訪問看護は同時に使えますか?
A. 使えます。役割が違うため併用が一般的です。看護師(訪問看護)が医療的なケアを、ヘルパー(訪問介護)が生活と体の介助を担当し、ケアマネジャーが必要に応じて組み合わせます。
Q. 訪問看護はどんな人が対象ですか?
A. 主治医が訪問看護を必要と認め、指示書を交付した方が対象です。年齢や要介護認定の有無を問わず、医療的なケアや療養上の管理が必要な方であれば利用できます。
Q. リハビリだけをお願いすることもできますか?
A. 訪問看護の枠組みの中で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による在宅リハビリを受けることができます。ただし主治医の指示が前提になります。詳しくは主治医やステーションに相談してください。
まとめ:在宅療養の「医療」を支える柱
訪問看護は、看護師などが自宅を訪問し、主治医の指示のもとで医療的なケアを行うサービスです。訪問介護(ヘルパー)との違いは「医療かどうか」で、両者は併用が基本。要介護認定があれば原則介護保険が優先され、末期がん・特定の難病・急性増悪期などは例外的に医療保険が使われます。24時間対応の体制があり、在宅療養の「もしも」に応じてくれるのが大きな安心です。
まずは主治医に「訪問看護は使えますか」と相談を。在宅介護の全体像は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方、訪問介護との違いは訪問介護でできること・できないこと一覧もあわせてご覧ください。