介護が終わった後の手続き一覧|死亡届から相続まで期限順にわかりやすく解説
親を見送ったあと、悲しみに暮れる間もなく、次々と手続きに追われる――そんな現実に、戸惑い、疲れてしまう方は少なくありません。でも、すべてを完璧に、今すぐこなす必要はありません。期限のあるものから一つずつで大丈夫です。まずは、これまで介護をやり切ったご自身を、どうかねぎらってあげてください。
長い介護が終わったあとには、悲しみと同時に、たくさんの事務手続きが待っています。死亡届に始まり、年金、健康保険、相続――種類が多く、期限もバラバラで、何から手をつければいいのか分からなくなりがちです。
この記事では、介護(看取り)が終わった後にやるべき手続きを、期限順のチェックリストで整理します。すべてを覚える必要はありません。「いつまでに何をするか」の地図として、必要なところだけ確認してください。
※本記事は2026年8月時点の情報に基づく一般的な解説です。手続きは故人の状況で異なり、期限や必要書類も変わります。相続など専門的な判断は、市区町村の窓口や弁護士・司法書士・税理士にご相談ください。
手続きの全体像:期限順チェックリスト
まず全体を俯瞰しましょう。期限の早い順に並べると、優先順位が見えてきます。
| 期限 | 主な手続き | 窓口 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届・火葬許可申請 | 市区町村 |
| 10〜14日以内 | 年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更 | 年金事務所・市区町村 |
| すみやかに | 公共料金・銀行・各種契約の名義変更や解約 | 各事業者 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認(する場合) | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 準確定申告(必要な場合) | 税務署 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付(必要な場合) | 税務署 |
| 3年以内 | 相続登記(不動産がある場合) | 法務局 |
【7日以内】まず最初にやること
- 死亡届・火葬許可申請:亡くなったことを知った日から7日以内に、市区町村へ死亡届を提出します。多くは葬儀社が代行してくれるため、実務上は葬儀の流れの中で済むことがほとんどです
この時期は葬儀と重なり、心身ともに大変な時期です。ここは葬儀社の力を借りて乗り切り、細かい手続きは落ち着いてからで構いません。
【10〜14日以内】役所・年金の手続き
- 年金の受給停止:年金を受け取っていた場合、受給を止める手続きが必要です(厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が目安)。あわせて、まだ受け取っていない年金(未支給年金)を遺族が請求できる場合があります
- 健康保険・介護保険の資格喪失:保険証を返却し、資格喪失の手続きをします。介護保険の保険証(介護保険被保険者証)も返却します。利用していた介護サービスの精算も忘れずに
- 世帯主の変更:故人が世帯主だった場合、14日以内に届け出ます
役所の手続きは「おくやみコーナー」を設けている自治体が増えています。複数の手続きをまとめて案内してくれるので、事前に電話で確認して訪ねると効率的です。
【すみやかに】名義変更・解約
期限は明確でないものの、放置するとトラブルになりやすいのが名義変更・解約です。
- 電気・ガス・水道・電話・NHK・インターネットなどの名義変更または解約
- 故人の預貯金口座(口座は凍結されるため、相続の手続きが必要)
- クレジットカード、各種サブスク、新聞などの解約
- 介護用品のレンタル品の返却(福祉用具業者へ連絡)
特に一人暮らしだった親の場合、契約の全体像が分からないことも多いもの。郵便物や通帳の引き落とし履歴が手がかりになります。
【3か月〜】相続に関する手続き
相続は期限が長めですが、判断に時間がかかるため早めの着手が安心です。
- 相続放棄・限定承認(3か月以内):借金など負の財産が多い場合、相続放棄を検討します。「相続があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があり、この期限を過ぎると原則として単純承認(すべて相続)とみなされます。負債の可能性があるなら早めに専門家へ
- 準確定申告(4か月以内):故人に一定の所得があった場合、亡くなった年の所得を遺族が申告します
- 相続税の申告・納付(10か月以内):相続財産が基礎控除額を超える場合に必要です。多くの家庭は基礎控除内で申告不要ですが、不動産があると超えることもあるため確認を
- 相続登記(3年以内):不動産を相続したら名義変更が必要です。2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に登記しないと過料の対象になり得ます
相続は、遺産の額や家族関係によって手続きが大きく変わります。少しでも複雑だと感じたら、弁護士・司法書士・税理士や、法テラスに相談してください。介護の貢献をめぐる相続の話し合いについては兄弟姉妹の介護分担|もめない話し合い方と相続(寄与分)の関係もご覧ください。
忘れがちだけど大切なこと
- 高額療養費・高額介護サービス費の払い戻し:亡くなる直前の医療費・介護費が上限を超えていた場合、後から払い戻される分を遺族が受け取れることがあります。市区町村や保険者から通知が来たら手続きを
- 葬祭費・埋葬料:健康保険から葬儀費用の一部(数万円程度)が支給される制度があります。申請しないともらえないので忘れずに
- 医療費控除:亡くなった年の医療費は、準確定申告で医療費控除の対象にできる場合があります。介護サービスの一部も対象です
手続きに疲れたら
これだけの手続きを、悲しみのなかで一人でこなすのは大変です。次のように、抱え込まない工夫をしてください。
- 「おくやみコーナー」や葬儀社のアフターサポートを活用する:何から手をつければいいか整理してもらえます
- 家族で分担する:役所回り、金融機関、相続書類など、役割を分けると負担が軽くなります
- 期限のないものは後回しでいい:名義変更などは急がなくても大丈夫。まずは期限のあるものだけに集中しましょう
よくある質問
Q. 何から手をつければいいか分かりません。
A. まずは市区町村の「おくやみコーナー」に電話してみてください。死亡届の後に必要な役所手続きを一覧で案内してくれます。それと並行して、相続で不安があれば専門家に相談を。すべてを同時にやろうとせず、期限の早いものから一つずつで大丈夫です。
Q. 親に借金があったかもしれません。
A. 相続放棄には「3か月以内」という期限があります。借金の有無がはっきりしないうちに時間が過ぎると不利になることがあるため、早めに司法書士・弁護士や法テラスに相談してください。故人宛ての督促状や借入の書類がないか確認しましょう。
Q. 手続きが多すぎて、気力がわきません。
A. 大切な人を亡くした後に気力が出ないのは、自然なことです。急がなくてよい手続きは後回しにして、まずはご自身の心と体を休めてください。つらさが長く続くようなら、介護疲れ・介護うつを防ぐにはで紹介した相談窓口も頼ってください。介護のあとの喪失感(燃え尽き)は、多くの人が経験するものです。
まとめ:期限のあるものから、一つずつ
介護が終わった後の手続きは、①7日以内の死亡届、②10〜14日以内の年金・保険、③3か月以内の相続放棄、④10か月以内の相続税、⑤3年以内の相続登記という期限を押さえれば、慌てずに進められます。役所の「おくやみコーナー」や専門家を頼り、家族で分担しながら、無理のないペースで。
手続きに追われていると、悲しむ時間さえないように感じるかもしれません。でも、事務的なことが一段落したら、どうか自分の気持ちにも向き合う時間を取ってください。長い介護を支えたあなたの日々は、決して無駄ではありませんでした。親御さんは、あなたのその頑張りを、きっと分かっていたはずです。少しずつ、あなた自身の暮らしを取り戻していきましょう。
介護中の家族の支え合いは仕事と介護の両立、はじめての介護は親の介護は何から始める?最初にやること5ステップをご覧ください。