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介護離職 care-resignation
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働きながら親の介護に直面したとき、多くの人が最初に頭をよぎるのが「仕事、続けられるだろうか」という不安です。そして、その不安のまま勢いで会社を辞めてしまう――これが、介護で最も避けたい選択です。

この記事では、介護離職がなぜ危険なのか、そして仕事を辞めずに乗り切るための両立制度(介護休業・介護休暇など)を、家族目線でわかりやすく解説します。2025年4月に強化された会社の義務についても触れます。介護全体の始め方は最初にやること5ステップをご覧ください。

※本記事は2026年7月20日時点の制度情報に基づく一般的な解説です。制度の詳細や適用は勤務先・雇用保険の状況で異なります。具体的な手続きは勤務先や公的機関にご確認ください。

「介護離職」だけは避けたい理由

結論から言えば、介護のための離職は、勢いで決めてはいけません。理由は3つあります。

  • 収入が途絶える介護費用と自分の生活費の両方を、貯蓄だけでまかなうことになります。介護は数年〜10年以上続くこともあり、経済的に行き詰まりやすくなります
  • 再就職が難しい:一度離職すると、同じ条件での再就職は簡単ではありません。介護が終わった後の自分の人生設計まで狂いかねません
  • 介護に専念しても楽にならない:仕事を辞めて介護に専念すると、かえって社会とのつながりを失い、閉塞感や介護うつにつながることがあります。「離職=介護が楽になる」ではないのです

国も介護離職の防止に力を入れており、働きながら介護をするための制度が整ってきています。まずは辞める前に、使える制度を確認してください。

仕事を辞めずに使える両立制度

介護と仕事を両立するための制度は、育児・介護休業法という法律で定められています。主なものを整理します。

制度 内容 こんなときに
介護休業 対象家族1人につき通算93日、3回まで分割取得 介護の体制づくりのためまとまった休みが必要
介護休暇 年5日(対象家族2人以上で10日)、時間単位で取得可 通院付き添い・手続きなど単発の用事
所定外労働の制限 残業の免除を請求できる 定時で帰って介護にあたりたい
時短勤務等の措置 短時間勤務・時差出勤・テレワークなど 働き方を柔軟にしたい

介護休業(まとまった休み+給付金)

介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取得できます。雇用保険から休業前賃金の67%が「介護休業給付金」として支給されます(一定の受給条件があります)。申請方法や必要書類は介護休業給付金の申請方法|必要書類・申請期限・タイミングで詳しく解説しています。

ここで大切な考え方があります。93日は「介護に専念するための期間」ではなく、「介護の体制を作るための期間」と捉えてください。要介護認定の申請、ケアマネジャー選び、サービスの手配、施設探しなど、働きながらでは進めにくい段取りを、この期間で一気に整えるのが賢い使い方です。「93日で介護が終わる」わけではないので、その後は介護サービスに任せて仕事に戻る、という設計が現実的です。

介護休暇(単発の用事に)

介護休暇は、年5日(対象家族が2人以上なら年10日)取得でき、時間単位でも使えます。通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、役所での手続きなど、「半日だけ抜けたい」というときに便利です。介護休業がまとまった休みなら、介護休暇は日常のこまごました用事に使うイメージです。

2025年4月からの重要な変更

2025年4月の育児・介護休業法の改正で、会社側の義務が強化されました。働く家族にとって追い風になる内容です。

  • 個別の周知・意向確認が義務化:従業員が「家族の介護に直面した」と会社に申し出たら、会社は両立支援制度の内容を個別に説明し、利用の意向を確認しなければならないようになりました
  • 40歳前後での情報提供が義務化:介護に直面する前の早い段階で、会社は制度の情報提供を行うことになりました
  • テレワーク導入の努力義務:介護と両立しやすい働き方として、テレワークを選択できるようにする努力義務が設けられました

つまり、「会社に言いにくい」と一人で抱え込む時代ではなくなったということです。制度を使う第一歩は、まず会社(人事や上司)に介護の状況を伝えること。伝えれば、会社側から制度を説明する義務があるのです。

制度を使う前に整理しておくこと

介護休業や介護休暇をスムーズに使うために、事前に手元でまとめておくと会社との話が早くなります。

  • 介護が必要な家族の状況:要介護度、主な困りごと、想定される期間感
  • 自分がやること・任せられること:手続きや付き添いのうち、自分が動く必要があるものと、サービスに任せられるものを仕分けする
  • いつ・どのくらい休みたいか:介護休業でまとめて取るのか、介護休暇で単発に取るのかの見通し
  • 会社の制度:就業規則や社内の担当窓口。分からなければ人事に直接聞く

「なんとなく不安」を「具体的に何が必要か」に落とし込むことが、両立の第一歩です。ここが整理できていれば、会社もケアマネジャーも的確に支援してくれます。

両立を成功させる5つのコツ

  • 1. まず会社に伝える:隠さず早めに相談を。2025年の改正で、会社は制度を説明する義務があります
  • 2. 介護サービスを最大限使う:自分で抱え込まず、デイサービスやショートステイなどに任せる(在宅介護のサービス
  • 3. キーパーソンを一人に背負わせない:兄弟姉妹で役割を分担する(家族会議で決める
  • 4. ケアマネジャーを味方につける:仕事の状況を伝え、両立しやすいケアプランを組んでもらう(ケアマネの探し方
  • 5. 自分の心身も大切に:介護者が倒れたら元も子もありません。疲れをためない工夫を

遠距離介護という選択肢

「実家が遠いから、仕事を辞めて帰るしかない」と思い込む必要はありません。遠距離のまま介護を続ける方法もあります。詳しいコツは遠距離介護のコツ|帰省の頻度・交通費・現地の見守り体制で解説しています。

  • 親の住所地の地域包括支援センターやケアマネジャーと連携し、現地の見守り体制を作る
  • 介護サービスや見守りサービスを活用し、日常は現地のプロに任せる
  • 帰省は「認定調査」「退院」など要所に集中させ、介護休暇・介護休業を活用する
  • 交通費の負担軽減策(介護帰省割引など)を航空会社等が用意している場合もある

遠距離介護は工夫次第で成り立ちます。詳しいコツは今後、この「家族介護・仕事」カテゴリーで解説していきます。

介護に疲れたと感じたら

仕事と介護の両立は、心身ともに大きな負担がかかります。「疲れた」「もう限界」と感じることは、決して弱さではありません。次の相談先を覚えておいてください。介護うつのサインや詳しい対処法は介護疲れ・介護うつを防ぐには|サインと相談先・レスパイトの使い方で解説しています。

  • 地域包括支援センター:介護者自身の悩みの相談も受け付けています
  • ケアマネジャー:サービスの追加や見直しで負担を減らせないか相談を
  • 家族会・介護者サロン:同じ立場の人と話すだけでも気持ちが軽くなります

一人で抱え込まないことが、両立を長続きさせる最大のコツです。

よくある質問

Q. 介護休業給付金は、休業中に必ずもらえますか?

A. 雇用保険の被保険者で、一定の被保険者期間があるなどの条件を満たせば支給されます。休業前賃金の67%が目安です。詳しい条件や申請は勤務先やハローワークに確認してください。

Q. 会社に介護休業の制度がありません。使えないのでしょうか?

A. 介護休業や介護休暇は法律で定められた権利なので、就業規則に記載がなくても取得できます。会社が拒否することは原則できません。困ったときは都道府県労働局の窓口に相談してください。

Q. パートやアルバイトでも介護休業は取れますか?

A. 一定の要件を満たせば、有期雇用の方も対象になります。まずは勤務先に確認し、難しければ労働局に相談を。「正社員でないから無理」と諦めないでください。

まとめ:辞める前に、制度を使い切る

仕事と介護の両立で最も大切なのは、勢いで離職しないこと。まず会社に伝え、介護休業(体制づくりの期間)と介護休暇(単発の用事)を活用し、介護サービスに任せる部分は任せる。2025年の法改正で、会社は制度を説明する義務を負うようになりました。一人で抱え込まず、使える制度と人を最大限に頼ってください。

制度を使う前提となる介護の始め方は最初にやること5ステップ、家族での分担は家族会議の進め方をご覧ください。

参考にした主な資料