介護が始まると、おむつ介護ベッド、手すり、見守りサービス、宅配のお弁当……と、次々に「これも必要かも」と思うものが出てきます。でも、何をどう選べばいいのか、どれが介護保険で安くなるのか、初めてでは見当がつきません。

この記事では、介護用品・サービスの全体像を整理し、「介護保険でレンタル・購入できるもの」と「実費で買うもの」の線引き、そして失敗しない選び方の基本を解説します。個別の商品ランキングではなく、公的なルールと選び方の考え方を中立にまとめています。介護全体の始め方は最初にやること5ステップをご覧ください。

※本記事は2026年7月20日時点の制度情報に基づく一般的な解説です。介護保険の適用や品目は要介護度・地域で異なります。

まず知りたい「介護保険が使えるか」の線引き

介護用品は、大きく3つに分けると分かりやすくなります。同じ「おむつ」でも自治体によって助成があったり、同じ「ベッド」でも要介護度で扱いが変わったりするので、この分類が出発点になります。

分類 お金の扱い
①福祉用具レンタル 介護ベッド、車いす、歩行器、手すり 介護保険で1〜3割負担
②特定福祉用具の購入 ポータブルトイレ、入浴用いす 介護保険で1〜3割負担(年間上限あり)
③実費で購入 おむつ、介護食、宅配弁当、見守り機器 原則全額自己負担(自治体助成がある場合も)

①福祉用具レンタル(13品目)

介護保険では、車いす・特殊寝台(介護ベッド)・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトなど13品目がレンタルの対象です。1〜3割負担で借りられます。

注意点は、介護ベッドや車いすなどは原則「要介護2以上」でないとレンタルできないこと。要支援や要介護1の方は、手すりや歩行器など一部に限られます(状態によって例外的に認められる場合もあります)。要介護度による違いは区分早わかりで解説しています。

②特定福祉用具の購入(年間10万円まで)

ポータブルトイレ、入浴補助用具(シャワーチェアなど)、簡易浴槽など、肌に直接触れて再利用しにくいものは、レンタルではなく購入が対象です。介護保険を使って年間10万円まで、1〜3割負担で買えます。指定を受けた事業者から購入する必要があるので、ケアマネジャーに相談しましょう。

③実費で購入するもの(保険対象外)

紙おむつ、介護食、宅配弁当、見守りカメラ・センサーなどは、原則介護保険の対象外で実費です。ただし、おむつ代は多くの自治体が助成制度を設けているほか、医療費控除の対象になる場合もあります。まずはお住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認してください。

主な介護用品・サービスの選び方の基本

ここでは代表的なものについて、選ぶときの着眼点だけを押さえます。具体的な商品比較は、それぞれ別記事で詳しく解説していきます。

大人用おむつ

選ぶ軸は「タイプ×吸収量×サイズ」です。歩ける方はパンツタイプ、寝て過ごす時間が長い方はテープタイプが基本。中に尿とりパッドを組み合わせると、交換の手間とコストを抑えられます。サイズはウエスト・ヒップで選ぶのがポイント。合わないと漏れや肌トラブルの原因になります。

介護食

かむ力・飲み込む力に合わせて「やわらかさの段階」で選びます。「ユニバーサルデザインフード」などの区分表示を目安にすると分かりやすいです。飲み込みに不安がある場合は、自己判断せず医師や言語聴覚士に相談を誤嚥(食べ物が気管に入ること)は肺炎につながるため、とろみの付け方も含めて専門家の助言が大切です。

介護ベッド

要介護2以上ならレンタルが基本です。選ぶ軸は「背上げ・高さ調整のモーター数」「サイズ」「付属品(サイドレール・マットレス)」。介護する人の腰の負担を減らすには高さ調整機能が重要です。レンタルなら状態の変化に合わせて交換できるのも利点です。

見守りサービス

離れて暮らす親の安否確認に役立ちます。センサー型(人感・開閉)、カメラ型、通報ボタン型、訪問型などがあり、プライバシーへの配慮と本人の同意が欠かせません。「監視されている」と感じさせない選び方が長続きのコツです。遠距離介護では特に検討したいサービスです。

高齢者向け宅配弁当

買い物や調理が難しくなった方の食事を支えます。「やわらかさ対応の有無」「塩分・カロリー調整食の有無」「冷凍か常温か」「配達時の安否確認の有無」が選ぶ軸。制度上の「配食サービス」として自治体が助成している地域もあります。

その他の生活支援サービス

モノだけでなく、暮らしを支えるサービスも介護生活の助けになります。

  • 家事代行・民間介護サービス:介護保険のヘルパーでは頼めないこと(本人以外の家事、大掃除、庭の手入れ、外出の付き添いなど)は、保険外の民間サービスで補えます。費用は全額自己負担ですが、家族の負担軽減に有効です
  • 移動・外出支援:介護タクシー、福祉車両のレンタルなど。通院や外出の選択肢を広げます
  • 緊急通報サービス:ボタン一つで駆けつけや相談につながる仕組み。一人暮らしの高齢者向けに自治体が提供している地域もあります

介護保険で「できること・できないこと」を理解したうえで、足りない部分を保険外サービスで埋めるのが、無理のない在宅介護のコツです(在宅介護のサービス)。

介護用品選びで失敗しないための3原則

  • 1. まずケアマネジャーに相談する:福祉用具は自己判断で買う前に相談を。レンタルで済むものを買ってしまう、要介護度で借りられないものを選ぶ、といった失敗を防げます(ケアマネの探し方
  • 2. 本人の状態に「今」合うものを選ぶ:先を見越して高機能なものを選びがちですが、使いこなせなければ意味がありません。状態が変わったら見直す前提で、レンタルを活用しましょう
  • 3. お試し・レンタルを活用する:福祉用具はレンタルなら合わなければ交換できます。おむつや介護食も、まとめ買い前に少量で試すのが鉄則です

よくある質問

Q. おむつ代は介護保険で安くなりますか?

A. 介護保険の直接の対象ではありませんが、多くの市区町村が独自のおむつ助成制度を設けています(現物支給や費用助成など)。また、医師の証明があれば医療費控除の対象になる場合もあります。市区町村の窓口で確認してください。

Q. ネット通販で福祉用具を買っても、介護保険は使えますか?

A. 介護保険を使えるのは、都道府県の指定を受けた事業者からレンタル・購入した場合に限られます。一般のネット通販で買うと全額自己負担になることが多いので、保険を使いたい場合は必ずケアマネジャーや指定事業者を通してください。

Q. どこで相談・購入すればいいですか?

A. 福祉用具はケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談するのが確実です。おむつや介護食は、ドラッグストア、介護用品店、通販などで実費購入します。まずはケアマネジャーに「今の状態で使えるもの・保険が効くもの」を整理してもらうと、無駄がありません。

まとめ:保険が効くものを知り、レンタルを賢く使う

介護用品・サービスは、①福祉用具レンタル(13品目・要介護2以上が中心)、②特定福祉用具の購入(年間10万円まで)、③実費購入(おむつ・介護食など)の3分類を押さえるのが第一歩です。そして、買う前にケアマネジャーに相談し、レンタルやお試しを活用することで、失敗と無駄を防げます。

各アイテムの詳しい選び方や比較は、この「介護用品・サービス」カテゴリーで順次解説していきます。在宅介護で使えるサービス全体は在宅介護のサービスをご覧ください。

参考にした主な資料