大人用おむつの選び方|吸収回数がメーカー間で比較できない理由
大人用紙おむつを買いに行くと、売り場の広さに驚きます。
テープ型、パンツ型、パッド、そして「2回分」「4回分」「6回分」——どれを、どう組み合わせればいいのか分からない。
そして、実はこんな落とし穴があります。
「◯回吸収」の表示は、メーカーごとに測り方が違います。
つまり、別のメーカーの数字と単純比較はできません。
この記事では、日本衛生材料工業連合会の表示ガイドラインをもとに、表示の読み方と選び方を整理します。
※当サイトは特定の商品を紹介・販売していません。本人の状態に合う製品は個々に異なります。迷う場合はケアマネジャーや福祉用具専門相談員にご相談ください。
大人用紙おむつは4タイプ
表示ガイドラインでは、次の4つに分類されています。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| パンツ型 | 下着のようにはいて使う。自分で立てる・歩ける段階向け |
| テープ型 | 寝たまま当てて、テープで留める。寝て過ごす時間が長い段階向け |
| パッド類 | パンツ型・テープ型の内側に入れて使う。交換の負担を減らす |
| フラット型 | 平らな形状のもの |
「どれかひとつを選ぶ」ではありません。パンツ型やテープ型を外側(アウター)、パッドを内側(インナー)として組み合わせて使うのが基本の考え方です。
組み合わせると何が変わるか
- 交換が楽になる——汚れたパッドだけ取り替えれば済む
- コストが下がる——外側を毎回替えずに済む
- 本人の負担が減る——全部脱がずに交換できる
ただしパッドを重ねて使うのは避けてください。吸収するはずの面が塞がれ、かえって漏れの原因になります。
【重要】吸収回数は比較できない
ここが最も知っておくべき点です。表示ガイドラインには、こう定められています。
案内表示を「吸収回数の目安」とし、使用目安の回数と1回の排尿量を併記する
表示には「製造業者独自の測定方法によるものであること」の明記が必須(日本衛生材料工業連合会)
「◯回分」の根拠となる1回の排尿量は、メーカーが独自に決めています。
したがって——
- A社の「4回分」とB社の「4回分」は、同じ量とは限りません
- 比較するなら同じメーカーの中で
- 他社製品に替えるときは、数字ではなく実際の結果で判断する
売り場で数字だけを見比べても、正確な比較にはならないということです。
サイズの合わせ方
サイズの呼称はS・M・Lが基本とされています。そして重要なのが、タイプによって測る場所が違うことです。
| タイプ | 合わせる部位 |
|---|---|
| テープ型 | ヒップサイズ |
| パンツ型 | ウエストサイズ |
「普段の洋服がMだからM」ではありません。テープ型はヒップ、パンツ型はウエストで選びます。同じ人でも、タイプが変わればサイズ表記が変わることがあります。
サイズが合わないと起きること
- 大きすぎる——すき間から漏れる
- 小さすぎる——食い込んで痛い、皮膚を傷める、本人が外そうとする
「漏れるから大きいサイズに」は、多くの場合逆効果です。漏れの原因がサイズなのか、吸収量なのか、当て方なのかを切り分けてください。
体重が減ると、それまで合っていたサイズが緩くなります。体重の変化があったら、サイズも見直してください(高齢の親が食べない)。
お金の話
おむつ代は継続的にかかる費用です。使える制度が3つあります。
① 医療費控除
国税庁は、おむつ代について次のように定めています。
おむつ代は「医師等が発行する『おむつ使用証明書』がある場合に限り」対象(国税庁)
領収書だけでは足りません。医師の証明書が必要です。
これは受診時に依頼するものなので、年が明けてから1年分をまとめて用意しようとすると間に合わないことがあります。おむつを使い始めたら、早い段階で主治医に相談してください(介護の医療費控除)。
② 自治体の助成
おむつ代の助成や現物支給を行っている自治体があります。対象条件・金額は自治体によって大きく異なります。
要介護度の条件がある場合が多いため、市区町村の高齢福祉担当窓口またはケアマネジャーに確認してください。
③ 施設では扱いが違う
介護保険施設に入所している場合、おむつ代が施設サービス費に含まれることがあります(特別養護老人ホームの費用と入所条件)。
一方、有料老人ホームなど民間施設では実費で別途かかるのが一般的です。施設を比較するときは「月額に含まれないもの」の一覧を必ずもらってください(老人ホームの費用相場まとめ)。
同じ「月額15万円」でも、おむつ代が含まれるかどうかで実際の負担は変わります。
介護保険では買えない
紙おむつは介護保険の給付対象外(実費)です。
福祉用具のようにレンタルや購入費の支給はありません。介護保険で使えるもの・使えないものの線引きは 介護用品・サービスの選び方 にまとめています。
選ぶ前に確認したいこと
製品選びの前に、そもそもおむつが必要な段階かを確認してください。
当サイトで扱ったとおり、トイレに間に合わない原因が膀胱ではなく環境にあることがあります。トイレまでの距離、夜間の照明、脱ぎにくい服——これらを変えるだけで改善する場合があります(認知症とトイレの失敗)。
また、いきなりおむつに移行せず、トイレ誘導 → ポータブルトイレ → パッド → パンツ型 → テープ型と段階を踏むほうが、本人の受け入れもよく、機能も保たれやすくなります(在宅介護の食事・入浴・排泄の基本)。
よくある質問
夜だけ漏れます
夜間は交換の間隔が長くなるため、吸収量の多いパッドを組み合わせるという方法があります。
ただし当て方や体位によって漏れる方向が変わります。横向きで寝る方は横漏れしやすいなど、原因は人によって違います。ケアマネジャーや訪問介護のヘルパーに、実際の当て方を見てもらうと解決が早いことがあります。
皮膚が赤くなっています
早めに医師・看護師に相談してください。おむつを使っている部分の皮膚トラブルは悪化しやすく、痛みは本人の不穏の原因にもなります。
交換の頻度、サイズ、清拭の方法など、複数の要因が関わります。自己判断で市販薬を使う前に相談してください。
本人が外してしまいます
不快感が原因のことがあります。サイズが合っていない、濡れている、暑い、かゆい——まず身体的な理由を確認してください。
対応の考え方は 認知症とトイレの失敗 をご覧ください。
どのくらいの頻度で替えればよいですか?
吸収回数の目安は「そこまで替えなくてよい」という意味ではありません。皮膚の状態や本人の快適さを優先してください。
訪問介護を利用している場合、おむつ交換は身体介護に含まれます(訪問介護でできること・できないこと)。
まとめ買いしてもよいですか?
最初から大量に買わないでください。合わなかったときに使い切れません。
状態は変化します。歩けていた方が寝て過ごすようになれば、パンツ型からテープ型へ替える必要が出てきます。まず少量で試してください。
どこで相談すればよいですか?
担当のケアマネジャー、または福祉用具を扱う店舗の専門相談員です。
実際の状態を見てもらえるため、売り場でひとりで悩むより早く解決します。
まとめ
- タイプはパンツ型・テープ型・パッド類・フラット型の4つ
- 外側(パンツ型・テープ型)と内側(パッド)を組み合わせるのが基本。パッドの重ね使いは避ける
- 吸収回数は「製造業者独自の測定方法」。メーカーをまたいで数字を比較できない
- サイズはテープ型=ヒップ、パンツ型=ウエスト。洋服のサイズとは別
- 「漏れるから大きいサイズに」は逆効果になることがある
- 医療費控除には医師の「おむつ使用証明書」が必要
- 自治体の助成がある場合がある。介護保険では買えない
- 施設ではおむつ代が施設サービス費に含まれることがある
おむつ選びで迷うのは当然です。表示の数字が、メーカー間で比較できるようになっていないのですから。
まず少量で試し、合わなければ変える。そしてひとりで決めず、専門職に実際の状態を見てもらう——それが遠回りに見えて、いちばん早い方法です。
参考にした主な資料
- 紙おむつの表示ガイドライン|一般社団法人 日本衛生材料工業連合会
- 大人用紙おむつサイズ測定方法|一般社団法人 日本衛生材料工業連合会
- No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価|国税庁
※製品の仕様・自治体の助成制度・税制は変更されることがあります。実際の選択や申請にあたっては、各メーカーの表示、お住まいの市区町村、税務署等にご確認ください。皮膚トラブル等がある場合は医療職にご相談ください。