在宅介護を続けるうえで、多くの家族が最初に頼るのがデイサービス(通所介護)です。「日中どう過ごさせればいいか」「入浴を自宅でさせるのが大変」「自分が少し休みたい」——そんな悩みをまとめて助けてくれるサービスですが、いざ調べると「費用はいくら?」「一日どんなことをするの?」と分かりにくいもの。

この記事では、デイサービスの一日の流れ・要介護度別の費用の目安・種類の違い・使い始め方を、家族目線でわかりやすく整理します。あわせて、多くの家族がつまずく「本人が行きたがらないとき」の工夫にも触れます。在宅介護で使えるサービス全体は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方をご覧ください。

※本記事は2026年8月時点の制度情報に基づく一般的な解説です。費用や内容は地域・施設・加算によって異なります。実際の利用は担当ケアマネジャーにご確認ください。

デイサービス(通所介護)とは

デイサービスは、要介護の方が日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなどを受ける介護保険サービスです。正式名称は「通所介護」といいます。朝は自宅まで送迎に来てくれ、夕方には送り届けてくれるのが一般的です。

デイサービスには、大きく2つの役割があります。

  • 本人にとって:外出・入浴・他者との交流の機会になり、生活のリズムと心身の活動が保てる
  • 家族にとって:日中の介護から解放される休息(レスパイト)の時間になる

「自宅での入浴介助が難しい」「日中ひとりにするのが不安」「介護する家族が休めない」——こうした在宅介護の課題を、まとめて和らげてくれるのがデイサービスです。要介護1〜5の方が対象で(要支援の方は総合事業の通所型サービスなどの別枠になります)、費用は原則1〜3割の自己負担で利用できます。

デイサービスの一日の流れ

施設によって多少違いますが、一般的な半日〜一日(7〜8時間)の流れは次のようになります。

時間帯 内容
午前 自宅まで送迎 → 健康チェック(体温・血圧・脈拍)→ 入浴・水分補給
昼食 → 服薬・口腔ケア → 休憩
午後 機能訓練(体操・リハビリ)→ レクリエーション・趣味活動 → おやつ → 送迎で帰宅

特に入浴は、デイサービスを利用する大きな動機になります。転倒の心配がある自宅の浴室と違い、専用の設備と職員の介助のもとで安全に入浴できるため、「入浴のためにデイに通う」という方も少なくありません。機能訓練やレクリエーションは、体を動かし人と関わることで、心身の機能低下を防ぐ狙いがあります。

デイサービスの費用の目安

費用は要介護度・施設の規模・利用時間・加算によって変わります。ここでは、通常規模の施設を7〜8時間利用した場合の1回あたりの自己負担(1割負担)の目安を示します。

要介護度 1回あたり(1割負担の目安)
要介護1 約660円
要介護2 約780円
要介護3 約900円
要介護4 約1,020円
要介護5 約1,150円

※上記はサービス費の目安です。実際には、入浴介助・個別機能訓練・送迎などの加算が上乗せされ、さらに食費(1食あたり600〜800円程度)やおむつ代などの実費は保険外で別途かかります。2割・3割負担の方は、上記の2倍・3倍が目安です。

たとえば要介護2の方が週2回(月8回)通う場合、サービス費の自己負担はおおよそ月6,000〜7,000円台、これに食費(8回×約700円=約5,600円)や加算が加わり、月におよそ1万数千円が目安になります。金額は施設ごとに異なるため、利用前に必ず見積もりを確認しましょう。要介護度ごとの区分限度額の考え方は要介護度とは?区分と使えるサービスの違いもご覧ください。

デイサービスの種類

ひとくちにデイサービスといっても、いくつかのタイプがあります。本人の状態や目的に合わせて選びます。

  • 通常規模型・大規模型の通所介護:最も一般的なタイプ。定員が多く、レクリエーションや行事も活発
  • 地域密着型通所介護:定員18人以下の小規模な施設。少人数でアットホームな雰囲気が特徴
  • 認知症対応型通所介護:認知症の方を対象にした専門のデイサービス。少人数で、認知症の状態に合わせたケアを受けられる
  • リハビリ特化型(半日型):機能訓練に重点を置き、入浴や食事を省いて半日で通うタイプ。「まだ元気なうちに体力を保ちたい」方に人気
  • 療養通所介護:常時医療的なケアが必要な重度の方向け。看護師が手厚く配置される

なお、医師の指示のもとでリハビリを中心に行う「通所リハビリテーション(デイケア)」という別のサービスもあります。理学療法士などの専門職によるリハビリを受けたい場合はデイケア、生活の活動と交流が主目的ならデイサービス、というのが大まかな使い分けです。

デイサービスを使い始めるには

デイサービスの利用は、次のステップで進みます。

  1. ケアマネジャーに相談:「日中の活動を増やしたい」「入浴を頼みたい」「家族が休みたい」など、目的を伝える(ケアマネジャーの探し方
  2. 施設の見学・体験:候補の施設を見学し、雰囲気やスタッフ、他の利用者の様子を確認する。多くの施設で体験利用ができる
  3. ケアプランに位置づけ:利用日数・時間をケアプランに組み込み、契約して利用開始

施設ごとに雰囲気やプログラム(趣味活動が豊富、リハビリに力を入れている、認知症ケアが手厚いなど)は大きく異なります。本人に合うかどうかは、実際に見学・体験してみるのがいちばんです。ケアマネジャーに複数の候補を出してもらい、比べて選びましょう。

本人が「行きたくない」と言うときは

「知らない場所に行くのは不安」「年寄り扱いされたくない」——本人が最初にデイサービスを嫌がるのは、とても自然なことです。無理に押し込もうとすると、かえって拒否が強くなってしまうこともあります。焦らず、少しずつで大丈夫です。

本人が乗り気でないときは、次のような工夫が役立ちます。

  • 「介護施設」ではなく「趣味の集まり」「お風呂に入りに行く場所」など、本人が受け入れやすい言葉で伝える
  • まずは週1回・半日から始め、慣れてきたら回数を増やす
  • 本人の趣味(囲碁・手芸・カラオケなど)に合ったプログラムのある施設を選ぶ
  • 気の合うスタッフや同年代の利用者がいると、通うのが楽しみに変わることも多い
  • 合わないと感じたら、別の施設に変えることもできる

「一度断られたからもう無理」とあきらめず、時期や施設を変えて試してみると、意外とすんなり通い始めることもあります。担当ケアマネジャーに、本人の性格や趣味を率直に伝えて相談してみてください。

よくある質問

Q. デイサービスは週に何回まで使えますか?

A. 回数の一律の上限はありませんが、要介護度ごとの区分支給限度額の範囲内で、他のサービスとの組み合わせで決まります。週1〜5回など、本人の状態と家族の状況に合わせてケアマネジャーが調整します。

Q. 送迎はどこまで来てくれますか?

A. 原則として自宅の玄関まで送迎してくれます。歩行が不安な方には、車の乗り降りや玄関までの介助もしてもらえます。送迎範囲は施設によって決まっているため、利用前に確認しましょう。

Q. 食事だけ、入浴だけ利用することはできますか?

A. デイサービスは半日〜一日のプログラムとして提供されるため、「入浴だけ」といった単品利用は基本的にできません。ただしリハビリ特化型の半日型など、目的を絞ったタイプを選ぶことは可能です。

Q. 認知症でも利用できますか?

A. 利用できます。一般のデイサービスでも受け入れていますが、認知症の症状が進んでいる場合は、少人数で専門的なケアを行う認知症対応型通所介護のほうが落ち着いて過ごせることもあります。ケアマネジャーに相談してみましょう。

まとめ:家族の休息にもなる在宅介護の柱

デイサービス(通所介護)は、日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションを受けるサービスです。本人には活動と交流の場、家族には日中の休息の時間になり、在宅介護を続けるうえで大きな支えになります。費用は要介護度・規模・加算・食費で変わるため、利用前に見積もりの確認を。

介護する家族が休むことは、けっして「怠け」ではありません。デイサービスで日中の時間を確保することは、共倒れを防ぎ、在宅介護を長く続けるための大切な工夫です。頼れるものは、遠慮なく頼ってください。

本人に合う施設は、見学・体験で見極めるのが近道です。まずは担当ケアマネジャーに相談を。在宅介護の全体像は在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方、訪問介護でできることは訪問介護でできること・できないこと一覧もあわせてご覧ください。

参考にした主な資料