高齢の親の入院準備|必要なものリスト(男女別)と手続き・費用の目安
高齢の親の入院は、救急搬送のような緊急のケースだけでなく、「検査の結果、来週から入院しましょう」という予定入院でも突然やってきます。そして病院から渡される持ち物リストは意外と簡素で、「高齢の親ならでは」の必需品――入れ歯や補聴器、滑りにくい靴、名前書きの重要性――までは教えてくれません。
この記事では、高齢の親の入院に必要なものリスト(基本・男女別・高齢者ならでは)と、最初の手続き・費用の目安をまとめました。倒れた直後の動き方全体は親が倒れたらすぐやることで解説しているので、本記事は「準備の実務リファレンス」として使ってください。
※本記事は2026年7月20日時点の制度情報をもとにした一般的な解説です。持ち物の可否は病院ごとのルールが優先されます。入院案内を必ず確認してください。
手続きに必要なもの(書類・保険証類)
入院手続きでまず求められるのは、次の書類関係です。
- マイナ保険証、または資格確認書:健康保険証は新規発行が終了しており、マイナ保険証を持っていない方には「資格確認書」が交付されています。親がどちらを持っているか、この機会に確認を。マイナ保険証を使えば、高額療養費の限度額を超える分の窓口支払いが事前手続きなしで抑えられるメリットもあります(詳しくはこちらの記事のお金のセクションへ)
- 診察券(その病院にかかったことがあれば)
- お薬手帳と服用中の薬:飲み合わせの確認に必須です。サプリメントも含めて持参しましょう
- 入院誓約書などの書類:身元引受人・連帯保証人の記入欄があるのが一般的です。印鑑も持っておくと安心です
- 入院保証金:病院によっては数万円の預り金が必要な場合があります(退院時に精算)。入院案内で確認を
持ち物リスト(基本編)
どの病院でも概ね共通する基本の持ち物です。
- 前開きのパジャマ2〜3枚:点滴や診察のしやすさから前開きが基本。かぶりタイプは避けます
- 下着・靴下 3〜5組、羽織れるカーディガンなど(院内は季節を問わず冷えることがあります)
- かかとのある履き慣れた靴:転倒防止のため、スリッパやサンダルを禁止する病院が増えています。着脱しやすく滑りにくいシューズを
- 洗面用具(歯ブラシ・コップ)、入浴用品、バスタオル・フェイスタオル数枚
- ティッシュ、ウェットティッシュ、イヤホン(テレビ用。有線タイプが無難)
- 少額の現金:テレビカードや売店用に数千円程度。多額の現金は厳禁です
- スマホと充電器(延長コードは持込可否を病院に確認)、老眼鏡、筆記用具
- マグカップまたはふた付きコップ、必要に応じてストロー付き吸い飲み
男性の場合
- 電気シェーバー:T字カミソリは安全上の理由で禁止する病院があります。電池式・充電式のシェーバーが確実です
- 整髪料や香りの強いものは避ける(多床室では匂いのマナーがあります)
女性の場合
- 基礎化粧品(乾燥対策のクリーム類)、リップクリーム
- ヘアブラシ・ヘアゴム(長い髪は結べるように)
- 骨盤ベルトや締め付けの強い下着より、リラックスできる下着を多めに
高齢の親ならではの必需品
ここが病院のリストに載りにくい、そして忘れると本人が一番困るところです。
- 入れ歯・洗浄剤・入れ歯ケース:ティッシュに包んで紛失、が定番の事故です。必ずケースを
- 補聴器と予備電池:聞こえないと医師の説明も理解できず、認知機能が落ちたように見えてしまいます
- 眼鏡(遠近)と眼鏡ケース
- 杖・歩行器:持込可否と保管場所を病院に確認
- 紙パンツ・尿とりパッド:必要な場合。病院指定の製品や院内レンタルの場合もあるので事前確認を
- すべての持ち物に大きく名前を書く:入院中の紛失は本当に多く、特に入れ歯・補聴器・眼鏡は高額です。油性ペンとお名前シールを用意しましょう
持って行ってはいけない・避けたいもの
- 多額の現金、通帳、キャッシュカード、貴金属(病室は無施錠が基本です)
- はさみ・カミソリなどの刃物類
- 電気ポットなどの電気製品(病院の許可がないもの)
- 匂いの強い食べ物・花(生花を禁止する病院も多い)
洗濯がつらいなら「入院セットのレンタル」も
多くの病院では、パジャマ(病衣)・タオル・日用品が日額制でレンタルできる「入院セット(CSセットなどと呼ばれます)」が用意されています。費用は1日数百円程度かかりますが、洗濯物の受け渡しのために家族が通う必要がなくなるため、遠距離介護や仕事を持つ家族には十分元が取れる選択肢です。緊急入院で準備が間に合わないときの初期対応としても使えます。
入院費用の目安
費用の不安には、次の内訳で見通しを立てます。
- 医療費の自己負担:75歳以上は原則1割(一定以上の所得で2割、現役並み所得で3割)。さらに高額療養費制度で月ごとの上限があるため、青天井にはなりません。マイナ保険証か限度額適用認定証の手当てを忘れずに(詳しくはこちら)
- 食事代:2026年6月から1食550円(一般所得の場合)です。食材費高騰で3年連続の引き上げとなっており、1日3食で1,650円、30日で約5万円。食事代は高額療養費の対象外なので意外と効いてきます。住民税非課税世帯は申請により1食270円・130円に減額されます
- 差額ベッド代:個室などを希望した場合の全額自己負担。同意書に署名する前に必要性と金額の確認を
- 雑費:入院セットレンタル、テレビカード、おむつ代など1日数百〜千円台
民間の医療保険・生命保険に入院給付金が付いていないかも、早めに保険証券や通帳の引き落としで確認しましょう。
認知症がある親の入院で気をつけたいこと
認知症のある方は、入院という環境の激変で混乱やせん妄(一時的な意識の混乱)が起きやすくなります。次の工夫が助けになります。
- 入院時に普段の様子を病院に伝える:認知症の程度、夜間の行動、聞こえ・視力、呼ばれ慣れた呼び名などをメモで渡すと、看護師のケアが的確になります
- なじみの物をそばに置く:使い慣れたひざ掛け、家族の写真などが安心材料になります
- できる範囲で顔を見せる:面会は本人の安心とせん妄予防に効果的です。遠距離ならビデオ通話の協力を病棟に相談してみましょう
「入院してから急にぼけたようになった」と慌てる家族は多いのですが、環境変化による一時的な変化のことも多く、まずは病棟の看護師や医師に相談してください。物忘れのサインの見分け方はこちらの記事で解説しています。
予定入院なら、入院前にやっておくと楽なこと
日程が決まっている予定入院の場合は、入院前のひと手間で入院中の負担が大きく減ります。
- 入院案内を熟読し、レンタルの申込みを済ませる:持込禁止品や面会ルールは病院ごとに違います
- 家の始末:冷蔵庫の生ものの整理、新聞・宅配の一時停止、ゴミ出し、火の元・戸締まりの確認。一人暮らしの親なら郵便物の扱いも決めておきます
- 近所や親戚への声かけ:長期不在を知らせておくと、防犯面でも安心です
- 介護保険サービスを使っているならケアマネジャーに連絡:入院中はデイサービスなどの在宅サービスが一時停止になります。レンタル中の福祉用具の扱いも含め、必ずケアマネジャーに入院を伝えてください。退院時のサービス再開もスムーズになります
- お金の段取り:入院保証金・当面の支払い方法、本人のキャッシュカードの扱い(使う場合は記録を残す)を家族で確認
入院中に家族が進めておくこと
持ち物が整ったら、入院期間は「退院後の生活」の準備期間でもあります。
- 医師の説明はメモを取り、できれば家族2人以上で聞く
- 退院後に介護が必要になりそうなら、要介護認定の申請を検討(申請の流れと調査のコツ。調査は病状が安定してから受けるのが基本です)
- 退院前に病院の医療ソーシャルワーカーへ相談し、退院先の選択肢やケアマネジャー探し(探し方はこちら)を進める。退院準備の全体像は退院支援の使い方を参照
よくある質問
Q. 遠距離で、すぐに荷物を届けられません。
A. まずは入院セットのレンタルで当座をしのげます。院内のコンビニ・売店でも最低限はそろいます。不足分は、ネット通販の「病院気付」での直送を受け付けてくれるか病棟に確認してみてください(受取可否は病院によります)。次の面会時に補充する前提で、完璧を目指さないことが大切です。
Q. 病衣・タオルのレンタルは使ったほうがいいですか?
A. 家族が週に何度も洗濯物を運べるなら持ち込みで十分です。通うのが負担なら、レンタル代は「家族の時間と体力を買う費用」と割り切る価値があります。入院が長引きそうかどうかで判断するとよいでしょう。
Q. 面会に行けないことに罪悪感があります。
A. 毎日通う必要はありません。面会は回数より「本人が忘れられていないと感じられること」が大切です。電話やビデオ通話、手紙や家族写真の差し入れでも十分役割を果たします。あなた自身の仕事と生活を守ることも、長い介護では同じくらい重要です。
まとめ:リストで準備、名前書きを忘れずに
高齢の親の入院準備は、基本の持ち物に「入れ歯・補聴器・眼鏡・滑りにくい靴」といった高齢者ならではの必需品を足し、すべてに名前を書くことがポイントです。お金は高額療養費と食事代(2026年6月から1食550円)を押さえれば、見通しが立ちます。
そして入院は、介護の入り口になることが多い出来事です。退院後の生活に不安があるなら、親の介護は何から始める?最初にやること5ステップ【全体ガイド】で全体の流れを確認しておいてください。