親の介護保険について調べている方に、まずお伝えしたいことがあります。

介護保険料は、あなたも払っています。

40歳以上であれば、給与から毎月天引きされています。給与明細の「介護保険料」という行——見たことがあるでしょうか。

介護保険は「親の世代の制度」ではありません。40歳になった時点で、全員が加入者です。

この記事では、40〜64歳の自分の保険料と、65歳以上の親の保険料の両方を整理します。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとにした一般的な解説です。保険料は市区町村・加入している医療保険によって異なります。正確な額はお住まいの市区町村または加入先にご確認ください。

加入者は2つに分かれている

第1号被保険者 第2号被保険者
年齢 65歳以上 40〜64歳(医療保険に加入している人)
保険料の納め方 市区町村へ(原則年金から天引き 医療保険料と一緒に納める
サービスを使える条件 原因を問わず、要介護・要支援と認定されれば利用できる 加齢が原因とされる特定疾病(16種類)による場合に限られる

ここで押さえておきたいのが、第2号被保険者は保険料を払っていても、使える場面が限られていることです。

介護サービス情報公表システムは、第2号について「老化が原因とされる病気(特定疾病)により、要介護状態や要支援状態になった場合」に利用可能としています。

交通事故によるケガなどでは、40〜64歳の方は介護保険を使えません。制度の全体像は 介護保険の仕組み で解説しています。

【40〜64歳】保険料率は1.62%

会社員の方であれば、加入している健康保険を通じて納めています。

中小企業の多くが加入する協会けんぽの場合、介護保険料率は次のとおりです。

令和8年3月分(4月30日納付期限分)から 1.62%
対象は「40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に該当する方」(全国健康保険協会)

健康保険料とは別に、介護保険料が上乗せされています。40歳の誕生日を迎えた月から始まり、給与明細に金額が表示されています。

いくらになるか

保険料率は標準報酬月額に対してかかります。仮に月額30万円であれば、1.62%で約4,860円。ただしこの全額を自分が払うわけではありません。

健康保険と同じく、事業主と折半するのが基本的な仕組みです(加入している保険によって扱いが異なる場合があります)。

組合健保・共済組合・国民健康保険では料率も計算方法も異なるため、正確な額は給与明細または加入先で確認してください。

【65歳以上】全国平均は月6,225円

親世代の保険料です。こちらは市区町村が3年ごとに決めます。

第9期(令和6年度~令和8年度)の保険料基準額は月6,225円(第8期は6,014円、+3.5%
※保険者ごとの保険料基準額(月額)を全国加重平均したもの(厚生労働省)

これは基準額です。実際には所得に応じた段階が設けられており、所得の低い方は基準額より低く、高い方は高くなります。

納め方は「年金から天引き」が原則

65歳になると、それまで医療保険と一緒に払っていた形から、市区町村へ納める形に変わります。一定額以上の年金を受給していれば、年金からの天引きになります。

つまり——親が受け取る年金額は、保険料が引かれたあとの金額です。介護費用を年金でまかなえるか計算するときは、天引き後の手取りで考えてください(介護費用は月いくら?)。

住む場所で2.7倍ちがう

ここが最も知られていない事実かもしれません。介護保険料は市区町村ごとに違います。

市区町村 第9期の基準額(月額)
最も高い 大阪府大阪市 9,249円
大阪府守口市 8,970円
大阪府門真市 8,749円
最も低い 東京都小笠原村 3,374円

最高と最低で、月に5,875円の差。年間では7万円を超えます。倍率にすると約2.7倍です。

なぜ差が生まれるのか

介護保険料は、市区町村がその地域で必要になる介護サービスの見込み量から算出します。したがって、次のような要素が影響します。

  • 高齢化の進み方
  • 施設やサービス事業所の整備状況
  • 実際に使われている介護サービスの量

「サービスが充実している地域ほど保険料が高くなる」という関係があります。保険料が安い=良い自治体、とは限りません。

親を呼び寄せる場合の注意

遠方の親を呼び寄せる、あるいは施設入所で住民票を移す場合、保険料が変わります。

特にグループホームなどの地域密着型サービスは、住民票のある市区町村のものしか使えません。金額だけでなく、使えるサービスも変わる点にご注意ください(遠距離介護のコツ)。

25年で2倍になった

制度開始からの推移を見ると、負担の変化がはっきり分かります。

基準額(月額)
第1期(2000年度〜) 2,911円
第3期 4,090円
第5期 4,972円
第7期 5,869円
第8期 6,014円
第9期(令和6〜8年度) 6,225円

2,911円から6,225円へ。約2.1倍です。

これは、介護サービスを使う人が増え、給付の総額が増えてきたことの反映です。いま40代・50代の方が65歳になる頃には、さらに変わっている可能性があります。

よくある質問

40歳になると自動的に引かれますか?

手続きは不要です。40歳の誕生日を迎えると自動的に第2号被保険者になり、医療保険料と一緒に徴収が始まります。

気づかないうちに始まっているため、一度給与明細を確認してみてください。

65歳になったら、二重に払うことになりますか?

いいえ。65歳になると第1号被保険者に切り替わり、医療保険料と一緒の徴収は終わって、市区町村へ納める形になります。

ただし切り替えの時期に納付方法が変わるため、一時的に納付書での支払いになることがあります。親宛てに届いた書類は捨てないでください。

払わないとどうなりますか?

介護保険料の滞納が続くと、いざ介護サービスを使うときに不利益が生じます。いったん全額を支払って後から払い戻しを受ける形になったり、自己負担割合が引き上げられたりする措置が定められています。

期間や内容は制度で定められていますので、支払いが難しい場合は、滞納する前に市区町村の窓口に相談してください。分割などの相談に応じてもらえる場合があります。

保険料を払っていれば、いつでもサービスを使えますか?

いいえ。要介護・要支援の認定を受ける必要があります。保険料を払っていることと、サービスを使えることは別です。

申請の流れは 要介護認定とは?申請から認定までの流れ をご覧ください。

親の保険料が高い気がします

所得段階の判定は、原則として前年の所得にもとづきます。退職した年の翌年は、現役時代の所得で判定されて高くなることがあります。

また世帯の課税状況も影響します。疑問があれば市区町村の介護保険担当窓口で確認してください。

自己負担割合とは別ですか?

はい、別のものです。

  • 保険料——サービスを使う・使わないにかかわらず毎月払うもの
  • 自己負担(1〜3割)——実際にサービスを使ったときに払うもの

自己負担が高額になったときは 高額介護サービス費 で払い戻しを受けられます。

親が保険料を払えなくなったら

年金から天引きされていれば滞納は起きにくいのですが、納付書で払っている場合は注意が必要です。判断能力が低下すると、支払い自体を忘れることがあります。

お金の管理をどう引き継ぐかは 親のお金の管理 で扱っています。

まとめ

  • 介護保険は40歳から全員が加入者。給与明細に載っている
  • 第2号(40〜64歳)は医療保険と一緒に納付。協会けんぽは令和8年3月分から1.62%
  • 第2号がサービスを使えるのは特定疾病(16種類)による場合に限られる
  • 第1号(65歳以上)の全国平均基準額は月6,225円(第9期・令和6〜8年度)
  • 納め方は原則として年金からの天引き
  • 市区町村で最大2.7倍の差(大阪市9,249円/小笠原村3,374円)
  • サービスが充実している地域ほど保険料は高くなる傾向がある
  • 制度開始時の2,911円から約2.1倍

親の介護を調べていると、どうしても「親の制度」として見てしまいます。しかし保険料の納付書は、すでに自分にも届いています。

いま親のために調べていることは、いずれ自分のためにも役立ちます。

参考にした主な資料

※保険料は市区町村および加入している医療保険によって異なり、3年ごとに見直されます。正確な額と最新の情報は、お住まいの市区町村または加入先の医療保険にご確認ください。