ケアマネジャーとは?探し方・選び方のコツと、合わないときの変更方法
要介護認定の結果が出たら、次にやるのがケアマネジャー選びです。ケアマネジャーはこの先何年も続く介護生活の「伴走者」であり、どの人に出会えるかで介護の負担感は大きく変わります。ところが多くの家族は、リストを渡されて「この中から選んでください」と言われ、選び方が分からないまま何となく決めてしまいます。
この記事では、ケアマネジャーの役割と探し方の3ステップ、面談で確認したいポイント、そして「合わない」と感じたときの変更方法まで、初めての方向けに解説します。なお、表記は「ケアマネジャー」「ケアマネージャー」の両方が使われますが、正式な資格名は介護支援専門員で、本記事では「ケアマネジャー」で統一します。
※本記事は2026年7月20日時点の制度情報をもとにした一般的な解説です。
ケアマネジャーとは?何をしてくれる人?
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、都道府県に登録される公的資格を持った介護の専門職です。看護師や介護福祉士などの実務経験を経て試験に合格した人たちで、主に次の仕事をしてくれます。
- ケアプランの作成:本人の状態と希望に合わせて、どのサービスをどれだけ使うかの計画を立てる
- サービス事業者との調整:デイサービスやヘルパー事業所への連絡・調整・契約の橋渡し
- 毎月のモニタリング:月1回程度自宅を訪問し、状態の変化やサービスの合い具合を確認してプランを見直す
- 介護全般の相談:制度のこと、施設のこと、家族の悩みの相談相手
要介護1〜5の方のケアマネジャーは居宅介護支援事業所に所属しており、利用者が事業所を選んで契約します。要支援1・2の方は地域包括支援センターが担当するため、この記事の「探す」作業は主に要介護の方が対象です。
そして大事なことをもう一つ。ケアマネジャーへの依頼・ケアプラン作成に自己負担はありません。費用は全額介護保険から給付されるため、「無料だから悪い」「有料の方が良い」といった品質差もありません。
探し方の3ステップ
ステップ1:事業所リストを手に入れる
市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで、地域の居宅介護支援事業所のリストがもらえます。認定結果の通知に同封される自治体もあります。病院から退院する場合は、医療ソーシャルワーカーが紹介してくれることもあります。
ステップ2:候補を2〜3か所に絞り込む
リストだけでは中身が分からないので、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」(検索サイト)で事業所名を調べてみましょう。全国の事業所の公式情報が無料で見られ、次のような判断材料が確認できます。
- ケアマネジャーの人数:複数名いる事業所なら、担当者の急病や退職時もカバーしてもらいやすい
- 主任ケアマネジャーの在籍:経験豊富な上位資格者がいる目安になります
- 営業時間・所在地:自宅からの近さは、緊急時の駆けつけやすさに直結します
- 併設サービスの有無:後述する「中立性」を見るための材料になります
ステップ3:電話して面談する
候補が絞れたら電話で「新規の相談をしたい」と伝え、受け入れの空きがあるか確認します。ケアマネジャー1人が担当できる件数には上限があるため、満員で断られることもありますが、落ち込む必要はありません。空きがあれば面談し、話してみた感触で決めます。
最初の面談までに準備しておくもの
面談の質は、こちらの準備でも大きく変わります。次のものを用意しておくと、初回から具体的な話ができます。
- 介護保険被保険者証・負担割合証:認定結果と自己負担割合が分かる基本書類です
- 親の情報メモ:持病・かかりつけ医・飲んでいる薬・生活リズム。入院時に作った親の情報リストがあればそのまま使えます
- 困りごとメモ:認定調査用に作ったメモの流用でOK。いつ・どんな場面で困っているかの具体例です
- 家族側の希望と事情:在宅をどこまで続けたいか、家族が手伝える曜日・時間帯、仕事の状況、費用の目安感。ここが曖昧だと、プランも曖昧になります
面談で確認したい7つのポイント
面談は「審査される場」ではなく「こちらが選ぶ場」です。次のポイントを意識して話してみてください。
- 1. 話を最後まで聞いてくれるか:本人と家族の希望を聞く前に結論を出す人は要注意です
- 2. 説明が分かりやすいか:専門用語をかみ砕いて説明できるかは、今後のやり取り全部に効いてきます
- 3. 連絡手段と時間帯:働きながら介護する方は「日中電話に出られないが、メールやショートメッセージでやり取りできるか」「夕方以降の面談は可能か」を最初に確認しましょう
- 4. 得意分野・保有資格:医療的なケアが必要なら看護師出身、認知症が中心なら認知症ケアの経験など、背景資格を聞いてみると相性が見えます
- 5. 提案が中立か:複数の事業所を比較して提案してくれるか。自社系列のサービスしか出てこない場合は注意が必要です
- 6. 緊急時の体制:担当者が不在のとき、事業所として誰がどう対応するか
- 7. 本人との相性:最終的に一番大事です。本人が心を開けそうな人かどうかを見てください
遠距離介護の場合は、「家族への報告をどうしてもらえるか」(月1回メールで様子を共有してほしい、など)も具体的に相談しておくと安心です。
こんな場合は注意
ケアマネジャーの大多数は誠実な専門職ですが、次のような対応が続く場合は見直しのサインです。
- 併設・系列のサービスばかりを勧め、他の選択肢を説明しない
- ケアプランの内容を説明せず、書類へのハンコだけを求める
- 連絡への返答が極端に遅い、月1回の訪問が形だけになっている
- 本人の希望より「事業所の都合」でサービスが決まっていく
ケアマネジャーに「できないこと」も知っておく
一方で、ケアマネジャーは何でも屋ではありません。誤解しやすい境界線を知っておくと、良い関係を築きやすくなります。
- 直接の介護はしない:食事や排泄の介助はヘルパーなどサービス事業者の仕事です
- お金や財産の管理はできない:通帳を預かる、支払いを代行するといったことは職務外です(判断能力に不安がある場合は社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や成年後見制度の出番です)
- 保険外の用事は頼めない:通院の付き添いや買い物代行そのものはケアマネジャーの仕事ではなく、必要なら保険内外のサービスをプランに組み込んでもらう形になります
- 24時間対応ではない:夜間・休日の緊急時は、事前に決めた連絡先(訪問看護や救急)が対応します
合わないときは変更できる(気まずくない)
ケアマネジャーはいつでも変更できます。変更しても利用中のサービスは原則そのまま継続でき、ペナルティも一切ありません。段階を踏むなら次の順番がスムーズです。
- まず要望を率直に伝える:「説明をもう少し詳しくしてほしい」「連絡はメールにしてほしい」など、不満の多くは伝えれば解決します
- 事業所内での交代を頼む:本人に言いにくければ、事業所の管理者に「担当を替えてほしい」と相談できます
- 事業所ごと変更する:新しい事業所を探して契約すれば、面倒な手続きの多くは新旧の事業所間で引き継がれます。言い出しにくければ、地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口に間に入ってもらうこともできます
「お世話になったのに悪い」と我慢する方が多いのですが、相性の合わないケアマネジャーと何年も付き合う方が、本人にも家族にも大きな損失です。変更はよくあることで、プロ側も慣れています。
よくある質問
Q. 本当に一円もかからないのですか?
A. ケアプラン作成・相談・調整・毎月の訪問を含め、利用者の自己負担はありません(全額が介護保険から事業所に支払われています)。お礼の金品も不要ですし、受け取れない決まりになっています。
Q. 遠距離で、面談やサービス担当者会議に出られません。
A. 電話やオンラインでの参加、書面での確認に対応してもらえるケースが増えています。契約時に「家族は遠方」と伝え、報告・相談の方法を決めておきましょう。帰省のタイミングに合わせて面談を設定してもらうことも可能です。
Q. 親が入院中です。退院までにケアマネジャーを決めておきたいのですが。
A. 良い進め方です。病院の医療ソーシャルワーカー(地域連携室)に相談すると、退院支援の一環として地域の居宅介護支援事業所を紹介してもらえます。退院前カンファレンスにケアマネジャーが同席してくれれば、退院当日から必要なサービスや福祉用具を整えた状態でスタートできます。入院中の動き方の全体像は親が倒れたらすぐやることをご覧ください。
Q. 施設に入所したら、ケアマネジャーはどうなりますか?
A. 特別養護老人ホームなどの施設には施設所属のケアマネジャーがいるため、入所すると担当は施設側に引き継がれます。在宅の間だけのお付き合いになりますが、施設探しの相談には在宅のケアマネジャーも乗ってくれます。
まとめ:「選んでいい」「替えていい」を忘れずに
ケアマネジャーは、介護生活の質を左右する最も身近なパートナーです。だからこそ、リストの上から順に決めるのではなく、情報公表システムで調べ、面談で確かめて選ぶ。そして合わなければ我慢せずに変更する。この2つを知っているだけで、介護の何年かがずっと楽になります。
認定前の方は要介護認定の流れと調査のコツを、介護全体の進め方は最初にやること5ステップ【全体ガイド】をあわせてご覧ください。