老人ホームの種類一覧表|8種類の違い・費用目安・選び方をわかりやすく解説
「そろそろ施設も考えないと」と思って調べ始めると、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム……と似た名前が並び、それぞれ入居条件も費用もバラバラで、最初の一歩で挫折しがちです。
この記事では、老人ホーム・高齢者向け住まいの主要8種類を一覧表で比較し、それぞれの特徴と「どういう人に合うか」を整理します。施設を運営する会社のサイトではないので、特定の施設タイプに誘導する理由はありません。公的資料に基づいて中立にまとめています。
※本記事は2026年7月20日時点の制度情報をもとにした一般的な解説です。費用はあくまで目安で、地域・施設・本人の所得段階によって大きく変わります。
まず全体像:老人ホームは「公的」と「民間」に分かれる
高齢者の住まいは、大きく2グループに分けると理解しやすくなります。
- 公的施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・ケアハウス):社会福祉法人や医療法人などが運営し、費用が比較的安く、所得に応じた減免制度もあります。その代わり入居条件が明確に決まっており、特に特養は待機が発生しがちです
- 民間施設(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなど):入居しやすく選択肢が豊富な一方、費用は公的施設より高めになる傾向があります
老人ホームの種類 一覧表(8種類)
| 施設 | 区分 | 入れる人の目安 | 認知症 | 月額の目安※ | 特徴を一言で |
|---|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的 | 原則要介護3以上 | 可 | 約9〜15万円 | 費用が安く終身利用可。ただし待機が多い |
| 介護老人保健施設(老健) | 公的 | 要介護1以上 | 可 | 約9〜17万円 | リハビリで在宅復帰を目指す中間施設。入所は数か月単位が基本 |
| 介護医療院 | 公的 | 要介護1以上 | 可 | 約10〜18万円 | 長期の医療的ケア+生活の場。医療ニーズの高い方向け |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 公的 | おおむね60歳以上(自立〜) | 型による | 約7〜13万円 | 低料金で生活支援。所得に応じた費用設定 |
| 介護付き有料老人ホーム | 民間 | 施設による(自立〜要介護5) | 可が多い | 約15〜35万円+入居金 | 施設スタッフが24時間介護。手厚いが高め |
| 住宅型有料老人ホーム | 民間 | 施設による | 施設による | 約10〜25万円+入居金 | 介護は外部の訪問介護等を個別契約で利用 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 民間 | 60歳以上等(自立〜軽介護中心) | 施設による | 約10〜20万円 | 安否確認+生活相談付きの賃貸住宅。自由度が高い |
| グループホーム | 民間 | 要支援2以上+認知症の診断 | 専門 | 約10〜18万円 | 認知症の方が少人数で共同生活。住民票のある市区町村限定 |
※月額は食費・居住費等を含むおおよその目安です。公的施設は所得段階による減免で下がる場合があり、民間施設は地域・グレードで上下します。種類別の費用比較と「年金だけで入れるか」の検証は老人ホームの費用相場まとめで解説しています。
公的施設4種類の特徴
特別養護老人ホーム(特養)
常時介護が必要な方の終身利用を前提とした、公的施設の代表格です。費用が安く看取りまで対応する施設が多い一方、入所は原則「要介護3以上」という条件があります(いわゆる「要介護3の壁」。要介護1・2でも特例入所の余地はあります。要介護度の区分早わかり参照)。人気が高く、地域によっては申込みから入所まで長い待機が発生します。複数の特養に同時に申し込めて、待機中の順番は状態の重さ等で変動することは知っておきたいポイントです。費用の内訳・月額シミュレーション・減免制度は特養の費用と入所条件で詳しく解説しています。
介護老人保健施設(老健)
病院と自宅の中間に位置し、リハビリを受けながら在宅復帰を目指す施設です(要介護1以上)。入所期間は数か月単位が基本で、「終の住処」ではありません。退院直後の受け皿や、特養待機中のつなぎとして使われることも多い施設です。退院時の選択肢としての使い方は退院支援の記事で、施設の詳細は介護老人保健施設(老健)とは?入所条件・費用・入所期間で解説しています。
介護医療院
長期にわたって医療的ケア(たん吸引・経管栄養など)と介護の両方が必要な方のための施設です(要介護1以上)。かつての「介護療養型医療施設」は2024年3月末で廃止され、その受け皿として整備が進んできました。医療ニーズが高くて他の施設に断られた、というケースで検討候補になります。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
家庭の事情や経済的な理由で自宅生活が難しい高齢者が、比較的低料金で食事や生活支援を受けられる施設です。自立〜軽度の方向けの「一般型」と、介護サービスの付いた「介護型」があります。所得に応じた費用設定のため、年金が少なめの方の選択肢として覚えておきたい存在です。
民間施設4種類の特徴
介護付き有料老人ホーム
都道府県から「特定施設」の指定を受け、施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供するタイプです。介護費用は要介護度ごとの定額制になります。手厚さと安心感がある反面、月額は高めで、入居一時金が必要な施設もあります。
住宅型有料老人ホーム
食事や見守りは施設が提供し、介護が必要になったら訪問介護など外部サービスを個別に契約して使うタイプです。介護の使い方を自分で選べる柔軟さがある一方、要介護度が上がると外部サービスの利用が増えて費用がかさむことがあります。「介護付き」と名前が似ていますが仕組みは大きく違うので、見学時には必ず区別して確認しましょう。両者の違いは有料老人ホームとは?介護付きと住宅型の違い・費用・選び方で詳しく解説しています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
安否確認と生活相談サービスが付いたバリアフリーの賃貸住宅です(国土交通省・厚生労働省の共管制度)。「施設」より「住まい」に近く、外出や生活の自由度が高いのが魅力です。介護は外部サービスを利用する形が基本のため、重度化したときに住み続けられるかは物件によって差があります。全国の登録物件は国の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で検索できます。詳しくはサービス付き高齢者向け住宅とは?登録基準・費用・有料老人ホームとの違いで解説しています。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症の診断を受けた方(要支援2以上)が、5〜9人の少人数で家庭的な共同生活を送る住まいです。認知症ケアの専門性が高く、なじみの関係の中で症状の進行を穏やかにすることを目指します。地域密着型サービスのため、原則としてその市区町村に住民票がある方しか入居できない点に注意してください。入居条件や退去になるケースはグループホームとは?認知症の親の入居条件・費用・退去になるケースで詳しく解説しています。親の物忘れが気になり始めた段階の方は、まず受診すべきサインの見分け方からどうぞ。
なお、身元保証人を頼める人がいない場合でも、それだけを理由に入所を断られることはありません。代替手段は身元保証人がいないと施設に入れない?断れない根拠と5つの対処法で解説しています。
「うちの場合はどれ?」絞り込みの4つの軸
8種類を全部比較する必要はありません。次の4つの軸で考えると、候補は自然に2〜3種類に絞れます。
- 軸1:要介護度と認知症の有無:要介護3以上なら特養が第一候補に。認知症が中心の課題ならグループホーム。自立〜軽度ならサ高住・ケアハウス・住宅型が視野に入ります
- 軸2:予算(年金の範囲で収まるか):年金中心なら公的施設(特養・ケアハウス)を軸に。月20万円以上出せるなら民間の選択肢が広がります
- 軸3:医療的ケアの有無:たん吸引・経管栄養・インスリンなどがあるなら、介護医療院や看護体制の厚い介護付き有料に絞られてきます。見学時に「対応できる医療的ケア」の確認が必須です
- 軸4:急ぐかどうか:退院日が迫っているなど急ぐ場合、待機の長い特養だけに絞るのは危険です。特養に申し込みつつ、老健や民間施設でつなぐのが実務的な定石です
よくある3つのケース
- 要介護4・年金中心の父:特養に複数申込み+待機中は老健またはショートステイの連続利用でつなぐ。所得段階によっては特養の負担軽減も適用
- 要介護1・認知症が進んできた母:グループホーム(住民票のある市区町村内)と住宅型有料・サ高住の認知症受け入れ可能物件を比較。将来の重度化時にどうなるかを見学で必ず確認
- 自立だが一人暮らしが不安な母:サ高住・ケアハウスが候補。いきなり住み替えを迫るより、家族会議で本人の希望を聞くところから
よくある質問
Q. 施設を考え始めるタイミングはいつですか?
A. 「在宅の限界が来てから」では選択肢が狭まります(在宅介護のサービスと限界の見極め方はこちら)。介護する家族の睡眠が慢性的に削られている、夜間の対応が続いている、「このままでは手を上げてしまいそう」と感じる――こうしたサインが出たら、入居するかどうかは別として情報収集と見学だけは始めるタイミングです。特養のように待機のある施設は、早めの申込みが後の選択肢を守ります。
Q. 何歳から入れますか?
A. 介護保険施設(特養・老健・介護医療院)は原則65歳以上(40〜64歳は特定疾病の場合)、サ高住やケアハウスは60歳以上が目安、有料老人ホームは施設ごとの設定です。年齢より「要介護度と施設の受け入れ条件」で決まる部分が大きいと考えてください。
Q. 夫婦で一緒に入れますか?
A. サ高住や有料老人ホームには2人入居可能な部屋を持つところがあります。一方、特養やグループホームは原則個人単位です。夫婦での住み替えを考えるなら、サ高住・有料老人ホームを軸に探すのが現実的です。
Q. 施設探しは誰に相談すればいいですか?
A. 担当のケアマネジャー(探し方はこちら)、または地域包括支援センターが公的な相談先です。民間の紹介センターを使う場合は、施設からの紹介料で運営されている仕組みを理解した上で、提案の理由と比較条件を確認しましょう(探し方と紹介センターの使い分けはこちら)(相談窓口の使い分けマップ参照)。
まとめ:種類の名前より「4つの軸」で絞る
老人ホーム選びの第一歩は、8種類の名前を暗記することではなく、要介護度・予算・医療ニーズ・緊急度の4軸で「うちの場合の候補」を2〜3種類に絞ることです。候補が絞れたら、次は費用の詳細と見学です。見学時の着眼点は老人ホーム見学のチェックリスト|見るべき場所と必ず聞きたい質問例にまとめました。各施設タイプの詳しい解説(特養の費用と申込み、老健の使い方、サ高住の選び方など)は、このカテゴリーで順次公開していきます。
在宅介護の始め方から知りたい方は親の介護は何から始める?最初にやること5ステップ【全体ガイド】をご覧ください。