在宅介護とは?使える6つのサービスと限界の見極め方をわかりやすく解説
要介護認定が下りて、いよいよ在宅での介護が始まる。でも「デイサービスとショートステイって何が違うの?」「訪問介護は何を頼めるの?」と、サービスの名前と中身が結びつかず戸惑う方は多いはずです。
この記事では、在宅介護で使える6つの主要サービスの役割を整理し、それぞれ「どんなときに使うか」を家族目線で解説します。あわせて、多くの家族が最も知りたい「在宅介護の限界をどう見極めるか」にも踏み込みます。介護全体の始め方は最初にやること5ステップをご覧ください。
※本記事は2026年7月20日時点の制度情報に基づく一般的な解説です。利用できるサービスや費用は要介護度・地域・事業所で異なります。
在宅介護は「家族が全部やる」ではない
まず大前提です。在宅介護とは、介護保険サービスを組み合わせて、家族の負担を分散しながら自宅で暮らしを支えることです。「自宅で介護する=家族が背負う」ではありません。
どのサービスをどれだけ使うかは、ケアマネジャーが作るケアプランで決まります(ケアマネジャーの探し方)。まずは「こんなサービスがある」という地図を持っておきましょう。
在宅介護の6つの主要サービス
| サービス | ひとことで言うと | こんなときに |
|---|---|---|
| 訪問介護 | ヘルパーが自宅に来て介助・家事支援 | 入浴・排泄の介助、買い物・調理を頼みたい |
| 訪問看護 | 看護師が自宅で医療的ケア | 点滴・服薬管理・床ずれの手当てが必要 |
| デイサービス | 日帰りで施設に通う | 日中の活動・入浴、家族の休息 |
| ショートステイ | 短期間、施設に泊まる | 家族の旅行・入院・休息のとき |
| 福祉用具 | 介護ベッド等のレンタル・購入 | ベッド・車いす・手すりが必要 |
| 住宅改修 | 手すり設置・段差解消(上限20万円) | 家の中の転倒を防ぎたい |
訪問介護(ホームヘルプ)
ヘルパーが自宅を訪問し、「身体介護」と「生活援助」を行います。身体介護は入浴・排泄・食事など体に触れる介助、生活援助は掃除・洗濯・買い物・調理などの家事支援です。
注意したいのが「ヘルパーに頼めないこと」があること。介護保険はあくまで本人のためのサービスなので、本人以外(家族)のための家事、庭の手入れ、ペットの世話、来客対応、大掃除などは対象外です。また、同居家族がいる場合の生活援助(家事)は、原則として使えない点も重要です(家族が病気・障害などで家事ができない事情があれば、ケアプランに位置づけて利用できます)。頼めること・頼めないことは訪問介護でできること・できないこと一覧で詳しく解説しています。
訪問看護
看護師などが自宅を訪問し、医療的なケアを行います。訪問介護(ヘルパー)との違いは「医療かどうか」。血圧などの健康管理、点滴・注射、床ずれの処置、服薬管理、在宅酸素やたんの吸引、看取りの支援まで担います。持病があり医療的な見守りが必要な方には欠かせないサービスです。費用や医療保険・介護保険の使い分けは訪問看護とは?費用・医療保険と介護保険の使い分けで解説しています。
デイサービス(通所介護)
日帰りで施設に通い、食事・入浴・機能訓練・レクリエーションを受けます。本人にとっては活動と交流の場、家族にとっては日中の休息時間になります。入浴の介助が自宅では難しい場合、デイサービスでの入浴を目的に使う方も多くいます。費用の目安や一日の流れはデイサービスとは?費用・一日の流れ・使い方で解説しています。
ショートステイ(短期入所生活介護)
施設に短期間(数日〜1週間程度)宿泊するサービスです。家族の旅行・冠婚葬祭・入院・休息(レスパイト)のときに使えます。「介護で自分の時間がまったく取れない」という状況を防ぐ、家族を守るためのサービスでもあります。将来的な施設入所を見据えた”お試し”として使う方もいます。料金や予約のコツはショートステイとは?料金・使い方・予約のコツで解説しています。
福祉用具(貸与・購入)
介護ベッド、車いす、歩行器、手すりなどをレンタルできます(1〜3割負担)。ポータブルトイレや入浴用いすなど、肌に触れて再利用しにくいものは購入(年間10万円まで補助)の対象です。要介護度によってレンタルできる品目が変わり、介護ベッドや車いすは原則要介護2以上です。用具の選び方や介護保険の線引きは介護用品・サービスの選び方で解説しています。
住宅改修
手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更などの工事に、上限20万円(自己負担1〜3割)まで介護保険が使えます。工事前の申請が必須で、ケアマネジャーへの相談が必要です。退院に合わせて行うケースも多くあります(退院支援の使い方)。対象工事や申請の流れは介護保険の住宅改修|対象工事・20万円の使い方・申請の流れで解説しています。
組み合わせのイメージ(要介護2の例)
実際は単独でなく複数を組み合わせます。要介護2で一人暮らしの母を、離れて暮らす子が支えるケースの一例です。
- デイサービス 週3回:日中の活動と入浴を確保
- 訪問介護 週2回:買い物・調理などの生活援助
- 福祉用具:手すりレンタル+玄関の段差解消(住宅改修)
- ショートステイ 月2〜3日:子が帰省できない週の見守り
これらは要介護度ごとの利用限度額の範囲で組みます。限度を超えた分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーが調整してくれます。なお、家族が自宅で行う日々の食事・入浴・排泄の介助のコツは在宅介護の食事・入浴・排泄の基本で解説しています。
在宅介護の費用の目安
「在宅だと月いくらかかるの?」という疑問には、次のように考えると見通しが立ちます。在宅介護の費用は、大きく介護保険サービスの自己負担+保険外の実費に分かれます。
- 介護保険サービスの自己負担:使った分の1〜3割。要介護度ごとの限度額の範囲で使えば、1割負担の方で月1〜3万円台に収まることが多い
- 保険外の実費:おむつ代、食費、通院交通費、配食サービス、限度額を超えて使った分など
施設に入るより在宅の方が費用を抑えやすい傾向はありますが、家族の時間や労力という「見えないコスト」も含めて考えることが大切です。負担が重いと感じたら、高額介護サービス費などの軽減制度も確認してください。
在宅介護の限界をどう見極めるか
「在宅介護 限界」は、多くの家族が検索する切実なテーマです。頑張り続けた末の共倒れを防ぐため、限界のサインを知っておくことは決して後ろ向きなことではありません。次のような状態が続いたら、体制の見直しどきです。
- 介護する家族の心身が限界:慢性的な睡眠不足、介護うつの兆候、「消えてしまいたい」と感じる
- 夜間の対応が続く:夜間の排泄介助やせん妄で、家族が眠れない日が続く
- 医療的ケアが増えた:在宅サービスだけでは対応しきれない
- 認知症の進行:徘徊、火の不始末、暴力などで目が離せない
- 本人の安全が保てない:転倒を繰り返す、服薬管理ができない
限界を感じたら、まずサービスを増やせないかケアマネジャーに相談を。ショートステイの活用や、それでも難しければ施設への切り替えも選択肢です。「施設に入れるのは親不孝」ではありません。本人にとっても家族にとっても、安全で持続可能な形を選ぶことが大切です。この判断は一人で抱えず、家族会議で共有してから進めましょう。
よくある質問
Q. 訪問介護と訪問看護、両方使えますか?
A. 使えます。役割が違うため併用が一般的です。ヘルパー(訪問介護)が生活と体の介助を、看護師(訪問看護)が医療的なケアを担当します。ケアマネジャーが必要に応じて組み合わせます。
Q. デイサービスを本人が嫌がります。
A. よくあることです。「お風呂に入りに行く」「体操をしに行く」など目的を絞って誘う、体験利用から始める、相性の良い事業所を探すといった工夫があります。ケアマネジャーに相談すると、本人に合った事業所を提案してもらえます。無理強いは逆効果なので、少しずつ慣らすのが基本です。
Q. 仕事をしながら在宅介護は続けられますか?
A. サービスを最大限活用すれば可能なケースは多くあります。介護休業・介護休暇などの両立制度もあります(全体ガイドのステップ5)。ただし無理は禁物で、限界を感じたら施設も含めて選択肢を広げてください。仕事と介護の両立は「家族介護・仕事」カテゴリーで今後詳しく扱います。
まとめ:サービスを組み合わせ、抱え込まない
在宅介護は、6つのサービス(訪問介護・訪問看護・デイサービス・ショートステイ・福祉用具・住宅改修)を組み合わせて、家族の負担を分散しながら進めるものです。そして、限界のサインが出たら我慢せず、サービスの追加や施設への切り替えを検討する――これが共倒れを防ぐ鍵です。
まずは担当のケアマネジャーに、今の困りごとを具体的に伝えることから始めましょう。制度全体の仕組みは介護保険の仕組みで解説しています。