高齢者の宅配弁当(配食サービス)|注文時に聞かれる13項目と選び方
親の食事が心配になったとき、選択肢のひとつが配食サービス(宅配弁当)です。
ただ、これを「弁当が届くだけのサービス」と考えていると、使いこなせません。
配食サービスは食事・栄養・安否確認を同時に担う仕組みです。
そして注文時には、13項目もの質問を受けます。
厚生労働省は配食事業のガイドラインを定め、利用者向けのパンフレットまで作成しています。そこに、事業者から何を聞かれるかが具体的に書かれていました。
この記事では、その内容をもとに頼む前に準備しておくことを整理します。
※当サイトは配食サービスの紹介や仲介を行っていません。特定の事業者を勧める記事ではなく、公的資料をもとに選び方の視点を整理したものです。
どんなときに使うサービスなのか
厚生労働省のパンフレットは、配食サービスを「一人ひとりに合った栄養バランスの良い食事をお届けするサービス」と説明し、次のような場面を挙げています。
- 食事の準備をするのが困難なとき
- 買い物や片づけが大変なとき
- 栄養バランスが気になるとき
- どのくらい食べたらいいのかわからないとき
- 家族と同じものが食べられないとき
最後の「家族と同じものが食べられないとき」に注目してください。同居していても、本人だけ別メニューが必要になると、作る側の負担は一気に増えます。同居家庭でも使う理由があります。
【前提】高齢者は「食べすぎ」より「低栄養」
パンフレットの最初に、はっきりこう書かれています。
「高齢者では多くの場合、食べすぎよりも低栄養が問題になります」
「低栄養の予防や栄養状態の改善に向けては、日々、バランスの良い食事をとることが重要となります」(厚生労働省)
現役世代の感覚で「食べすぎに注意」と考えていると、判断を誤ります。
当サイトで扱ったとおり、低栄養はサルコペニア(筋肉がやせること)から転倒・骨折につながります(高齢の親が食べない/高齢者が家で転ぶ場所1位は「居室・寝室」)。
「食べられていない」は、転倒対策の話でもあります。
【本題】注文時に聞かれる13の質問
厚生労働省のパンフレットには、配食事業者から実際に聞かれる項目が列挙されています。
「以下のチェックをしておき、事業者に同様に質問されたら、適切に答えられるようにしておきましょう」とされています。
| 質問される内容 |
|---|
| お一人でお住まいですか? |
| 日常生活で介助が必要ですか? |
| 要介護認定を受けていますか? |
| この半年間で体重が増えたり減ったりしていますか? |
| 現在、何かの病気で医師にかかっていますか? |
| 医師から食事療法を指導されていますか? |
| 噛む力、飲み込む力に不安はありますか? |
| 食欲はありますか? |
| 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を食べていますか? |
| 食物アレルギーはありますか? |
| 買い物や食事の準備は大変ですか? |
| 週に1回以上は外出していますか? |
| 食事を一緒に食べる人はいますか? |
| ご自身で健康だと思いますか? |
「弁当を頼むだけ」でこれだけ聞かれるのか、と驚くかもしれません。
理由も明記されています。
「ご自身の状況を事業者などに正しく伝えることは、個々に対応した食事を届けてもらうために必要です」(厚生労働省)
注目すべき2つの質問
「この半年間で体重が増えたり減ったりしていますか?」——低栄養を見つけるための質問です。答えるには、体重を測っておく必要があります。
「食事を一緒に食べる人はいますか?」「週に1回以上は外出していますか?」——これは食事の話ではありません。孤食や閉じこもりを把握するための質問です。
配食事業者が、単に弁当を届けるだけの存在として想定されていないことが分かります。
家族が代わりに答えることになる
本人が正確に答えられない場合、家族が答えることになります。特に離れて暮らしている場合、上記の項目を即答できるでしょうか。
- 親の体重の変化を把握しているか
- 食事療法の指導を受けていないか
- 飲み込みに不安はないか
- アレルギーは何か
帰省時に確認しておくべきリストとして使えます(遠距離介護のコツ)。
利用が始まったあとのポイント
パンフレットは、利用時の心得も示しています。
「硬くて飲み込みにくかったり、量が多かったり、少なかったりする場合は、遠慮せずに事業者に相談しましょう」
「食事を選ぶときに何か疑問のある人は、事業者にきちんと尋ねましょう」(厚生労働省)
合わなければ変えられます。「頼んだものを食べきれない」と我慢する必要はありません。
そして健康面については、こう分けられています。
| 相談内容 | 相談先 |
|---|---|
| 硬さ・量・メニューが合わない | 配食事業者 |
| 健康上の理由で食事選びに不安がある | かかりつけ医・歯科医 |
| 体調に異変を感じた | 速やかにかかりつけ医・歯科医 |
噛む・飲み込むことに関わる問題は、歯科医も相談先として挙げられています。
思わぬ副産物
パンフレットに、こんな一文があります。
「配食は料理の組み合わせ、味付け、量などの参考にもなります。日々の食事にも役立てましょう」(厚生労働省)
毎日でなく週に数回の利用でも、家庭で作る食事の基準になるという視点です。「これくらいの量でよかったのか」と分かることがあります。
安否確認としての配食
配食のもうひとつの役割が見守りです。
総務省行政評価局の調査では、自治体の見守り活動のひとつとして「配食・食材配達に併せて安否確認等を行う見守り活動」が挙げられています。
また厚生労働省の介護サービス情報公表システムには、生活関連情報として「配食(+見守り)」という区分があり、「訪問時に安否確認や見守りも兼ねたサービス」と説明されています。
手渡しか、置き配かで意味が変わります。見守りを期待するなら、手渡しで顔を見てもらえるかを確認してください。
見守りの仕組み全体は 高齢者の見守りサービスの選び方 で整理しています。週に数回、決まった時間に人が訪ねてくること自体が、大きな安心につながります。
費用と自治体の制度
配食サービスは原則として介護保険の対象外(実費)です。
ただし、自治体が独自に配食サービスを実施している、または費用の一部を助成している場合があります。対象や金額は自治体によって異なります。
民間サービスを契約する前に、市区町村の高齢福祉担当窓口か地域包括支援センターに確認してください。
介護保険で使えるもの・使えないものの線引きは 介護用品・サービスの選び方 にまとめています。
よくある質問
やわらかい食事にも対応してもらえますか?
対応している事業者があります。ただし「やわらかい」の程度は製品によって異なります。
噛む力・飲み込む力に不安がある場合は、自己判断で選ばないでください。パンフレットも、健康上の理由で不安がある場合はかかりつけ医・歯科医への相談をすすめています。
塩分やカロリーの調整はできますか?
そうした対応をしている事業者があります。ただし医師から食事療法を指導されている場合は、その指示が優先です。
注文時の質問に「医師から食事療法を指導されていますか?」が含まれているのは、このためです。指導内容を正確に伝えてください。
毎日頼まないといけませんか?
頻度は選べるのが一般的です。週に数回、昼だけ、といった使い方もできます。
家族の負担が大きい曜日だけ使う、という選び方も現実的です。
本人が「まだ自分で作れる」と言います
無理に切り替える必要はありません。「大変な日だけ」「試しに何回か」から始めるほうが受け入れられやすくなります。
ただし体重が減っている、同じものばかり食べている、賞味期限切れの食品があるといった場合は、実際には難しくなっているサインかもしれません(親の物忘れが増えたと感じたら)。
食べ残しが多いようです
量が合っていない可能性があります。パンフレットも「量が多かったり、少なかったりする場合は、遠慮せずに事業者に相談」としています。
ただし食欲そのものが落ちている場合は、別の原因が考えられます(高齢の親が食べない)。
どうやって事業者を探せばよいですか?
まず市区町村の窓口と地域包括支援センターに相談してください。地域で実際に使われている事業者を教えてもらえます。
介護サービス情報公表システムの「生活関連情報」でも、地域の配食サービスを探せます。
まとめ
- 配食サービスは「一人ひとりに合った栄養バランスの良い食事をお届けするサービス」(厚生労働省)
- 高齢者は食べすぎより低栄養が問題。低栄養はサルコペニア・転倒につながる
- 注文時には13項目の質問を受ける。体重の変化・食事療法・飲み込み・アレルギーは事前に確認しておく
- 「食事を一緒に食べる人はいますか」など孤食・閉じこもりを把握する質問も含まれる
- 硬さ・量が合わなければ、遠慮せず事業者に相談してよい
- 健康上の不安はかかりつけ医・歯科医へ
- 「配食(+見守り)」という区分がある。手渡しなら安否確認になる
- 原則介護保険の対象外だが、自治体の制度がある場合がある
配食サービスは、食事の負担を減らすだけの手段ではありません。栄養状態を専門的に見てもらい、定期的に人の目が入る仕組みでもあります。
だからこそ、注文時の質問には正確に答えてください。そこで伝えた情報が、届く食事の中身を決めます。
参考にした主な資料
- 配食サービスを上手に利用しましょう(配食利用者向けパンフレット)|厚生労働省
- 地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理|厚生労働省
- 公表されている生活関連情報について|介護サービス情報公表システム(厚生労働省)
※サービスの内容・費用・自治体の助成制度は地域や事業者によって異なります。実際の利用にあたっては、お住まいの市区町村または各事業者にご確認ください。健康上の判断が必要な場合は、かかりつけ医にご相談ください。